ネギ式

適当に生きるおっさんのブログ

読書感想

読書感想:藻類30億年の自然史

これは素晴らしい。藻類についての本だが、副題の「藻類から見る生物進化・地球・環境」という通り、単に藻類についてのエピソード的な本ではなく、進化とくに酸素発生型光合成生物の進化についての本であり、それゆえに地球と環境についての本でもある。 進…

読書感想:アリス殺し

小林泰三らしいよく出来た本。「不思議の国のアリス」をネタにした本はたくさんあるけれど、この本は俺の意味においてとても「不思議の国のアリス」らしい。つまり、人々の会話が実に不条理であるという点において、まさに不思議の国のアリスである。言葉の…

読書感想:お嬢様学校にはふさわしくない死体

はっきり言って、最高ですよ。素晴らしい。傑作。 1934年のイギリスの女子寄宿学校が舞台のミステリー。私はパズルミステリーが好きだけど、この作品はそんなにパズル性は強くない。なんといっても探偵は寄宿学校の生徒だし。そこそこヘッポコな探偵で推理の…

読書感想:土方美月の館内日誌

恋愛小説。短編集かと思ったけど、そうではなくてひとつの作品。物が神隠しにあう。まあ、アミニズムの世界ではそういうこともあろう。遠野物語を引用したいだけの人生だった。家政夫っぽい男性と少し年上のお金持ちっぽい女性との恋愛。中に詰め物が入った…

読書感想:浜村渚の計算ノート

キャラクター小説としてみると、キャラが立っていない。作者や他の登場人物から外見はかわいいが、考えていることは宇宙人のように理解できないキャラとして描かれている。なので理解できないキャラなのだが、そこでそのキャラの卓越性が示されればキャラが…

読書感想:うちの執事が言うことには

執事分99%のラノベ。たぶん、BL的な関係性ものとして読むべき作品だろう。表紙には描かれていない老執事が執事王で、若い執事と若い主人はどちらも老執事ラブ。そこから始まる若い主従のすれ違いラブラブストーリー。執事と主人のBLというだけで悶え死ぬとい…

読書感想:元年春之祭

なんか中文ミステリということらしい。俺のTLで話題になっていたので。漢籍の引用が凄い。なんというか、京極夏彦の妖怪薀蓄を漢籍薀蓄に変えたような作品。私程度の生半可な知識では圧倒されるばかりである。そして百合。そしてSM。 いや、SMは違うかも…

読書感想:貧乏人の経済学

図書館で借りた本である。ノーベル経済学賞発表後にツイッターで言及されていたので。 なんと誤変換が見当たらない。すごい速さで雑な訳文を大量に出す訳者という印象だったのだが。 2019年のノーベル経済学賞受賞者三人のうちの二人の共著の本。実験経済学…

読書感想:ファイトクラブ

暴力と恐怖の話。映画になっている。作品としては傑作。だが、私の好きなタイプの作品ではない。最後のあたりはやや安直な気もする。 作者あとがきは言い訳。まあ、小説の影響力なんて大したことない。世界へ影響を与えたのは映画だろう。 解説はつまらない…

読書感想:三体

図書館での貸し出しの順番が廻ってきて、ようやく読めた。これを読めというプレッシャーを強く感じていたのである。 中国人作家のSFで、英語版がアメリカのヒューゴー賞を受賞した作品である。 三体 作者: 劉慈欣,立原透耶,大森望,光吉さくら,ワンチャイ …

読書感想:新装版 物理の散歩道

新装版ではあるが古いエッセイである。トランジスタは足が3本とか書いてある。正しいが今の人には分からないのではないか。コンピュータの話ではパラメトロンとか出てくるし。古い古い。 しかし、このエッセイの内容は身近なことを考察するという点で、ブロ…

読書感想:犯罪は老人のたしなみ

スウェーデンと言えば福祉大国なのだが、そこの老人ホームに入っている老人たちが犯罪を犯すという話。老人ホームの経営者が変わって待遇が悪くなり、刑務所の方がマシだということで、刑務所に入ろうと意気投合するのだ。(スウェーデンの刑務所はいいとこ…

読書感想:新しい物性物理

まあ、物性物理などというものを一冊のブルーバックスで紹介しようとすれば、こんなものかも知れない。私と相性の悪い総花的解説であった。少しは得られたところもあったが、日本の物性物理と言ってもいいような側面もあり、総じて印象はよくない。 まあ、こ…

読書中断:死せる魔女がゆく

なんとか読もうと、そこそこ努力はしたんだけど、やはり諦めました。上巻の3分の2くらい読んだ。 なんというか、ハリウッド映画の脚本術みたいな危機また危機、ピンチに次ぐピンチという話なのですよ。もう主役の女性は次から次へと命を狙われるし、性的に…

読書感想:アメリカ版大学生物学の教科書第5巻生態学

ブルーバックス。まともな本である。 最新の科学知識を面白おかしく紹介という本ではない。まじめな当たり前の生態学の本である。良書。最後は地球温暖化の話が出てくる。変なイデオロギーに汚染されていない公平な本だと思う。 カラー図解 アメリカ版 大学…

読書感想:王家の遺伝子

前回読んだブルーバックスが面白かったので、またブルーバックスを借りてみたのである。 「DNAが解き明かした世界史の謎」という副題が付いている。主にリチャード3世とツタンカーメンの話だが、それ以外にいろいろな雑談が混じっている。DNAと世界史絡みの…

読書感想:カーテン

アガサ・クリスティのミステリーである。ネタバレありタグを付けておこう。 発売時にすごく評判になった本だが、いままで読んだことはなかった。評判になったとはいえ、ミステリなのでネタバレは避けるような形になっていたが、そうは言っても、ははーんとい…

読書感想:巨大ウィルスと第4のドメイン

ブルーバックス。ああ、ブルーバックスは気安く読めていい。 ウィルスらしからぬ巨大なウィルスが(次々と)発見されたという話。しかも大きさだけでなくパンドラウィルスとか形がウィルスらしくない。 それ自体も面白いのだが、その先、生物の進化の話へと…

読書感想:王都の二人組

なろう系の影響が海外作品にも……そんな訳ははない。 訳者あとがきの最初に作者の言葉が引用されている。 「昨今のファンタジイって長いし暗いし重いし、読んでいて肩が凝っちゃいませんか?」 これで嫌な予感がしたんだけど、まさにそうであった。俺にとって…

読書感想:猫ノ眼時計

津原泰水の短編集。 またしても短編集だと気づかずに読んでしまった。登場人物が共通しているからというのもあるが、なんかこう全体でなにかありそうな気配がしているので。 短編集だと気づいたのは、最後の年表で、同じ主人公(猿渡)で別の話があるとわか…

読書感想:ルピナス探偵団の憂愁

津原泰水祭り開催中。 ああ、知らなかったけどこれはルピナス探偵団シリーズの二冊目の短編集だったのか。佳作。 いや、おれ2つ誤解していて、まずこれが短編集だと思わずに、ひとつの長編だと思っていたということ。そして二冊目だと思わなかったこと。 そ…

読書感想:妖都

なんとなく、津原泰水を読もうかなと思って。 うーん、よく分からんかった。妖都東京の話とすると、ラストは納得できるような気がする。しかし、なぜ東京(だけ)なんだというところがよくわからん。 ふつうの人には見えないけど、物理的な力をもつ死者とい…

読書感想:ひらいたトランプ

アガサ・クリスティの有名な小説。読んだことなかった。まあ、あまり良くなかった。こういう性格の人はこういう犯罪をしないとかそういう話だったので。 ブリッジでグランドスラムの達成はもちろん難しいのだが、グランドスラムをビッドすることもまた難しい…

読書感想:スペシャル・ブレンド・ミステリー謎002

宮部みゆき編のミステリー傑作選。1971,1981,1991年傑作選からの選択。綾辻行人編が本格だったのに対して、宮部みゆきは社会派というか怪談風というか。 やはり都筑道夫はうまい。そして森村誠一は森村誠一だった。というか1971年の企業研修の問題がいまでも…

読書感想:スペシャル・ブレンド・ミステリー謎009

綾辻行人選、日本推理作家協会編の短編集。1978,1988,1998年の傑作選から綾辻行人が選ぶ8編という意図がよく分からない。やはり短編集は好きな作家のものを読むか、それともある年の傑作選を読むか、そうでないにしても倒叙とかのテーマ別を…

読書感想:六枚のとんかつ

バカミスというので読んでみた。 ところで私は最近、「レイトン ミステリー探偵社~カトリーのナゾトキファイル~」というアニメを見ているのである。なので、この程度の小説では怒らない。 というか、連作短編のふりをして実は最後に落ちがあるのではないか…

読書感想:奇貨居くべし

宮城谷昌光の小説は何作か読んだことがあるのだが、ここ十年くらいは読んでいなかった。久しぶりに読んだのがこの「奇貨居くべし」である。 まあ、面白いのは確かなんだけど、そんなにノレなかった。第一に宮城谷氏は儒教思想推しである。まあ中国の話である…

読書感想:紙の動物園

ケン・リュウのSF短編集。問題提起型とも政治的とも言える。その意味ではル=グィンやティプトリーの作品にも似ている。しかし、ル=グィンやティプトリーと違うのは、ケン・リュウが東洋系の男性という点であり、さらにプログラマーというところまで読者で…

読書感想:竜に選ばれし者イオン

なんちゅうか、違和感MAXなんだけど、面白いとも言える。まず、第一に書いて置かなければならないのは、「竜に選ばれし者イオン」は続き物の前編であるということである。全然終わっていない。 竜に選ばれし者イオン(上) (ハヤカワ文庫FT) 作者: アリソン…

読書感想:影の棲む城

ヒューゴー、ネビュラ、ローカスのSF三賞受賞作品。まあ、面白いのは確かだけど、そこまで面白いかというとそれほどでもないような。神に文句を言いながらもなんだかんだで使われてしまうイスタ国大后。まあ、これも恋愛小説ですね。やはり最初の方で相手…