昔、おたく男が大和の国の女を気に入って、通って共寝をした。しばらく通ったのだが、宮仕えしていたので京の都に帰らることになった。三月のことである。その帰り道に楓の木の若い葉が赤く染まっている枝があった。その枝を折って女のもとに贈った。
君がためた折れる枝は春ながらかくこそ秋のもみぢしにけれ
あなたのために折った枝は、春なのにこのように秋のように赤くなっています。私も京の都に帰りますが、この枝が秋ように赤くなっているのと同じように私の心はあなたの元に留まっているのです。
返事は男が京の都に着いてから、届いた。
いつの間にうつろふ色のつきぬらむ君が里には春なかるらむ
いつの間にそんな色が着いたのでしょうね。あなたの住む里には春がないのでしょう。(そんな色はあなたの浮気な気持ちの表れでしょう)
離れていてもまた会う時のためにキープして置こうと思った男であったが、女に見透かされてしまった。
楓の若葉には赤紫の色が見える。
現代日本にいた時に、ヤマトにはおたくグッズの通販で散々お世話になったものだ。やはりヤマトは行くものではなくて、来てもらうものだなぁと男は思ったのである。