ネギ式

適当に生きるおっさんのブログ

読書感想:クモはなぜ糸をつくるのか?

副題は「糸と進化し続けた四億年」

うーん、俺は「なぜ」のつくタイトルは「釣り」タイトルだと思うんだよね。例えば、このタイトルだと「本当に蜘蛛は糸を作るのか?」という疑問が浮かぶ。その手の釣りタイトルをたくさん見てきたので。

 

クモはなぜ糸をつくるのか?

クモはなぜ糸をつくるのか?

 

 書影を見ると、原作者が分かりにくい。上のリンクは書誌情報も入っているので原著者が分かるけれど、本を手にとった時に原作者が灰色で小さくて分かりにくいのはどうかと思うのである。

英文タイトルは「Spider Silk」で蜘蛛の糸という意味だと思うけど、さすがにこれは日本語タイトルに出来ないというのは分かる。英文の副題は「Evolution and 400 Million Years of Spinning, Waiting, Snagging, and Mating」

内容は蜘蛛について、特に蜘蛛の糸についての話と、進化論の話。なかなか専門的というか一般向けというか区分の難しい本だ。気持ちは分かるのだが。

蜘蛛の糸はタンパク質で出来ている。これは現代では構造を分析できる。そしてタンパク質はDNAに対応している。なので蜘蛛の糸のタンパク質の変化は蜘蛛のDNAの変化を直接的に反映しているわけだ。だから、蜘蛛の糸の話から進化論の話をしたくなる。

でも進化論についてはダーウィンのところから話始めるという一般向けなのに対して、蜘蛛の糸のタンパク質の話はなかなかに高度である。

そこに更に様々な蜘蛛の巣の形や蜘蛛の生態の話も入っているので、対象読者が絞られていないというか。私にとっては進化論の話はいまさらという気がした一方で蜘蛛の巣や蜘蛛の生態は興味深いものであった。

いや、女郎蜘蛛のような垂直の円形の網はもちろん知っていたし、植え込みとかに水平の網を作って、そこに隠れ帯をつける蜘蛛も知っていたし、地蜘蛛も知っていたけれど、部屋の隅なんかに網を張る蜘蛛のことは意識になかった。この本で見てはたと思い出したのである。それが最も最近に出現した立体網を作る蜘蛛だというのだ。確かに三次元に展開された網(蜘蛛の巣)だ。掃除で払われる目立たない蜘蛛の巣だと思っていたのだが。

ja.wikipedia.org

この本では後から出現した蜘蛛を進化した蜘蛛というようには呼んでいない。まあ立体網とかは進化したと言いたくなるけど、後から出現した蜘蛛の種類が単純な巣を作ることもあるので。そのへんは進化の考え方について慎重というか、科学的な態度である。

ナゲナワグモとか凄いよね。

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