ネギ式

適当に生きるおっさんのブログ

アニメ論:作品世界に偶然はない

フィクション作品である以上、その作品内で起こることはすべて製作者の意図したことである。したがって、作品世界でいかにも偶然のように見えることが起こったとしても、そこには製作者の意志が働いているということになる。
バクテン」で主人公が怪我をしたのは、練習の結果の怪我ではなく、まったくの偶然によるものであった。そこで怪我をする必然性はなかったのである。しかし、製作者はそこで主人公に怪我をさせることを決定した。その意図は何か? こういう問題なら、国語の試験としてよく話題になる「作者の言いたいことは何か」とかよりもはっきりしているだろう。
スーパーカブ」でもが事故を起こした。作中の事件としてはこれもまったくの偶然であろう。しかし、作者は何らかの意図を持って椎の事故を決定したはずである。
もちろん、エンタメ作品なのだから、その意図が文学的で高尚なものとは限らない。単に「盛り上げるため」とか「王道展開」とかそんな理由かもしれない。あるいは、「神は残酷な仕打ちをする」ということを示したかったという可能性もある。
アニメでよくあるラッキースケベについても、作品世界に偶然はなく、すべては製作者の意図したものであるという点から見るべきものであろう。主人公にとっては悪意のないラッキースケベであっても、製作者にとってはラッキーな偶然ではないのである。視聴者にとっても。