歳を取ると昔の記憶が脳内で改変されるのか、ひどい場合には捏造されてしまって、本当にあったことかどうか分からないことがある。
昨日、ゆず茶をパンに塗って食べていたら、なんかこんな感じのチョコレートを食べたことがあると思い出したのである。
あれは東京の安い木造アパートに住んでいたときのこと。地下鉄の駅のそばにオリジン弁当の店があって、そこからちょっと坂を下りたところがごちゃごちゃした住宅街だった。で、そこに秘密のチョコレート工場があったのである。
いや工場じゃなくて、普通の家みたいな感じで、少なくともお菓子屋という雰囲気ではなく、ただチョコレートがいくらとかいう張り紙が出ていたような気がする。それとも行列が出来ていたのだったか、まったく思い出せない。
ともかく目立たないながらもチョコレートを売っているところだったのである。たぶん、お店におろすチョコレート菓子を家内制手工業みたいに作っているところだろう。それともお菓子屋を持っている人が自宅でも近所の人に売っているとかそんな感じだろう。
ひどく入りにくい印象の店だったのだが、なにかの拍子にコミケに行くことになって、その際に知り合いのところに差し入れでもしようかと思い、差し入れの品を買うために、その店に入ったのだ。店じゃなくて勝手口みたいなところだったが、3種類くらいのチョコレート菓子を売っていて、その一つが細長く切ったオレンジにチョコレートを掛けたものだった。
これがうまかったんだ。差し入れ先でも好評だったし。買った時には、そんなに安くないなぁと思ったのだが、下のアマゾンの商品と比べたら、断然安いものだった。
でも次の年にまた買おうと思ったら、もうチョコを売る張り紙がなくなっていた。もしかして、この記憶は捏造されたもので、そんな店はなかったのかもしれない。