ネギ式

適当に生きるおっさんのブログ

読書感想:ベスト本格ミステリ2015

図書館で借りた本。時々思い出したように借りるベスト本格ミステリの2015年版。ワイダニットというか動機ものが多かった印象である。

 

最後の良薬:医者の話。どうもピンと来なかった。なんとなく、ネットで話題になっていた医者の漫画を思い出した。

心中ロミオとジュリエット:過去の事件の謎を解くという話。これもどうもピンと来なかった。夫婦喧嘩は犬も食わないって言うし。

三つの涙:犯人はなぜアイスキャンディを盗んだ(食べた)のか。普通に警察の捜査で犯人が分かるんじゃないかと思う。

三橋春人は花束を捨てない:離婚訴訟の話。俺にはこれが一番怖かった

死は朝、羽ばたく:死刑に関する話。俺はこれが気に入らない。ミステリには犯人だけが知っていることとか、犯人だけが知らないことが事件の鍵となることがある。ある情報を知っているか、知っていないかということはミステリにおいて重要な要素なのだ。死刑囚がどんな気持ちで死んでいったかということが被害者遺族に影響を与えるには、その情報を伝える必要がある。しかし、被害者遺族が満足するなら本当の情報ではなく嘘の情報を伝えればいいのである。嘘も方便というやつだ。それだけで被害者遺族が満足する(上に誰も損をしない)のにそれをしないのは非倫理的だ。

舞姫森鴎外の作品のオマージュ。最後のオチが強烈だが、単にそれが言いたかっただけの作品とも言える。

緑の女:犯人はなぜ死体の顔を緑色に塗ったのか?これは馬鹿げた行為に見えて、ちゃんと理由があってそれが犯人特定に繋がっているのでよい。

真桑瓜:ミステリとしてはワイダニットだが、犯人も最初から分かっているので面白くはない。江戸物の小説としてはよいと思う。

理由ありの旧校舎:アニメになったハルチカシリーズの原作の一編。アニメで見たのか見なかったのか、ヒントとなる情報が出た瞬間に分かった。ネットで有名なネタだし。

許されようとは思いません:現代の村八分の話。これも犯行の動機ものだ。

髪の短くなった死体:ユーモアのある文体がよい。結束テープは使った分だけハサミで切って持ち去ればよく、全部持ち去る必要はないだろう。

ゆるいゆるいミステリの、ささやかな謎のようなもの。:評論。通常はミステリとは分類されない文学作品をミステリとして読むというもの。このアンソロジーでは動機の謎が多めだったので、動機を謎と見れば人間の行動は大抵が謎だからそういう読み方もできるだろう。俺は動機の謎はあまり好きではないので、この評論もどうでもいい気がした。