ネギ式

適当に生きるおっさんのブログ

読書感想:ベスト本格ミステリ2017

図書館で借りた本。2016を飛ばして2017なのは、たまたま誰かが借りていて、そこになかったから。

 

何かが足りない方程式:交換殺人を見つけるのは難しくてかなりの名探偵でないと見抜けないと思う。

早朝始発の殺風景:前期にやっていたアニメ「アンデッドガール・マーダーファルス」の原作者の作品。始発電車で出会った高校生男女が、お互いにどうしてこんな早い電車に乗っているのか推理する話。なかなかよい。ラストの味も好き。

もう誰も使わない:ブランドバッグのストラップで首を絞められた殺人。なぜブランドバッグのストラップを使ったか。それが分かれば犯人特定ができる、と作中で言っているにもかかわらず、その理由がわかるのは犯人の供述によって。そこに不満がある。

鼠でも天才でもなく:美術館で美術品が汚損されるという事件。俺の考えでは、人はランダムなパターンにも勝手に意味を見出す(星座のように)なので、このトリックは成立しない。

言の葉の子ら:ある意味叙述トリックで、それは確かに意外だが、この作品には要らない気がする。

交換日記:叙述トリック叙述トリックには見事と感じて読み返すものと、ズルイと感じるものがあるが、これはズルイと感じた。

シヴィル・ライツ:暴対法で落ちぶれたヤクザもの。ミステリ部分はそれほどでもないが、テーマは好みである。落ちぶれたヤクザの描写もよい。見事に落ちぶれている。

琥珀の心臓を盗ったのは:老人ホームでぬいぐるみが損壊されるという事件。スレた読者には入念な描写から犯人が推定できる。ラストで犯人から探偵がまだまだだと諭されるところなどがよい。

佐賀から来た男:どうも俺は幕末の志士というのが好きになれない。

もしかあんにゃのカブトエビカブトエビの妖精を名乗る男の正体はなにか? いや、その正体にしては知り過ぎていると思うが。

最後は評論の「日常の謎」と隠密:探偵と忍者の関係は。俺の答えはどちらもアクロバティック。だが、そういう話ではなく、日常の謎という設定と推理したがらない探偵、そしてスクルーカーストについて。俺は高齢者だから、スクールカーストについてはほぼ経験していない(またはカースト外にいて気づかなかった)のだが、この評論を読むとスクールカーストって地獄だな。それなのに学園もののラノベが多いのは謎。特に学園にする必要のない異世界ものでも魔法学園が登場するのが謎な気がするが、それらはカースト下位の人間が、上位になるという夢を実現する話なんだろう。

 

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