なんとなくカウボーイビバップのスパイクを連想させるアクセルが活躍するアクションアニメ。
カウボーイビバップのアメリカのファンたちに向けた、サービスアニメという印象である。
俺の感想としては1話がピーク。1話のアクセルの脱走パルクールは最高。そのシーンだけ繰り返し見たい。
アクセルのアクションが中心のアニメなので、1話以降もパルクール的なアクションはあるし、格闘アクションもある。それらの出来も決して悪い物ではなく、むしろ神作画と言ってもいいだろう。
ただ格闘アクションは他のアニメでも見られるし、パルクールは追いかけるよりも逃げる方がハラハラしていいんだよ。だって追いかける時は、追跡失敗しても仲間が追跡を続行してくれるけど、脱走の時は捕まったらそこでゲームオーバーだから。(このゲームオーバーは人生終りという意味ではなくて、むしろ遊んでいるゲームが終るという意味)。
ストーリーとしては難ありだと思う。世界中の人間が服用している薬の副作用でみんな死ぬという設定も疑わしいが、それよりもその発明者スキナー博士を見つけるというミッションがしょぼい。人類の危機が提示されていて、日数制限もあるのに、探索が空振りというのが繰り返されるのでストレスである。万能の鎮痛剤が死に繋がるというこのアニメの設定は、明らかにアメリカのオピオイド禍を元にしている。だけど、全人類が服用しているというのはあまりにも人類の多様性を無視している。アメリカだけが世界ではない。
そしてアクセルのアクションの見せ場を作るために登場した殺し屋の双竜が、これまた余分な印象を与えている。後半から登場してアクセルと死闘を繰り広げるけれども、登場する必然性が感じられない。アクセルは重要人物だけど、ラザロはチームなのでその中の一人だけを殺そうとするのはあまり意味がない。単にアクションシーン要員という印象である。
この双竜がらみで酷いのが渾沌の話で、渾沌が怪物になっている。渾沌は老荘思想ではむしろ理想的な存在なのに。しかし老荘思想はアメリカ人には分からないだろうという配慮なのか、怪物ということにされてしまった。これはひどい。
それから、ハッカーちゃん(エレイナ)がこれまたしょぼい。人捜しが目的の話なので、エレイナが活躍すると話が終ってしまうというのもあるだろう。しかしエレイナの上を行く敵のハッカーであるヴィジョナリーがこれまたしょぼい印象なので、ますますエレイナがしょぼく見える。(後半では二人とも活躍してるので本当はしょぼくないのかも知れないが、なんか最終回までにスキナー博士を見つけるというストーリー上の都合で急に活躍したという印象がある)
ラザロは5人チームで、それぞれの担当回みたいなのもあったような気がするにも拘わらず、他の三人は更に印象が薄い。ドローンなんてアクセルの空中足場という役割だし。クリスティン明白な主役回があったにも拘わらず、俺の印象としてはバイクに乗ってる色っぽい姉ちゃんに過ぎない。
という訳でこの作品は、カウボーイビバップのスパイクを連想させるアクセルが活躍するアクションアニメというのが俺の感想である。アメリカ向けアニメだろう。