サブタイトルは「腐生植物の知られざる世界」
なのだが、腐生植物という日本語が実態を表していないと書かれている。
茸が生きている植物に寄生することがあるし、また死んだ植物から茸が生えることもある。そしてまた植物と茸が共生することもある。この植物と茸の共生関係が一歩進んでというか逆転してというか、共生ではなく植物が茸に寄生する形になったものが腐生植物である。
寄生植物なので葉がなくて花だけしかない。花茎はあるけど。しかし、その花はちゃんと被子植物の花の形をしている。タヌキノショクダイの花はちょっと変わっているけど。
写真が多く、作者の新種発見の物語なども書かれていて、読み物として面白い。
俺にとって面白かったというか考え方として興味深いところは、共生関係が崩れて逆の寄生になるというところである。昔は俺も自然礼賛的なところがあったが、その後自然は人間にやさしくないと気付いたわけだ。でも今でも自然礼賛的な思想は現代社会で強い影響力を持っている。そして自然礼賛的な思想では自然との共生というような思想があるわけだ。
そういうところに、この共生関係から逆の寄生になっている腐生植物という例があることが俺にとっては非常に興味深いのである。おそらくは菌類と植物の共生関係だけでなく、自然界の様々な共生関係において、その共生がどちらの方向にも崩れるということは、いかにもありそうなことである。
進化と多様性はまことに偉大である。
