図書館で借りた怪盗ニックシリーズ。
今回の短編集は白の女王ことサンドラ・パリスとの絡みの事件。サンドラはニックと同様に泥棒なのだが、犯行現場に「白の女王 不可能を朝食前に」と書かれたカードを残していくのだ。まさに怪盗らしい怪盗である。
鏡の国のアリスの白の女王が「わたしはときどき朝食前に多くても六つの不可能を信じることがあるのよ」というのがあって、それをもとにしているらしい。
サンドラの仕事は、毎回不可能な犯罪に見える。だいたいはニックの視点で描かれているので、ニックがサンドラの仕事を知った時にはいったいどうやってそんなことが出来たんだと思い、それを解明するのが一つの面白さとなっている。
価値のないものしか盗まないニックと白の女王サンドラは、同じ標的を狙って競ったり、お互いに相手のピンチを救ったりする。
なんだか漫画(アニメ)のルパン3世と峰不二子みたいな感じである。ただし、ニックには恋人のグロリアがいるので、恋愛関係にはならない。
また、この短編集でようやく知ったのだが、ニックが価値のないものしか盗まないのは、捕まっても少額窃盗罪にしかならないということも理由らしい。つまり、アメリカには昔から少額窃盗罪というのがあったわけだ。最近話題になったカリフォルニア州のプロポジション47も少額窃盗罪の延長線上にあるものなのだろう。
実際にニックは何度も捕まっているし、無罪ではなく警察に見逃してもらったりしてる。警察にしてみれば少額窃盗罪では捕まえても大した手柄にならないから、ニックと取引してもっと大物を捕まえた方がいいということなのだろう。
怪盗ニックシリーズの翻訳ものはこれでだいたい読んだような気がするので、次は同じ著者の別のシリーズを読んでみようかと思う。