アルセーヌ・ルパンよりも以前に出版されて、欧米では広く知られている怪盗紳士ラッフルズの話。
しかし、これを読んでみると、なんとBLである。冒頭の読書の栞という欄でもボーイズラブと書いてある。BLシーンがあるわけではないが、悪魔的な魅力のあるラッフルズと彼に逆らえないバニーという関係性がまさにBL。
怪盗ものとしては何度か盗みに失敗しているのが面白い。そしてアルセーヌ・ルパンと違うところは、人殺しを厭わないというか、「まだ人殺しをしたことがない」から今夜やってみようなどとラッフルズが言い出すことである。悪魔的だ。
バニーはラッフルズに唆されて泥棒をやっている形ではあるが、このままではラッフルズが捕まってしまうと思うと、積極的に行動してラッフルズを助けようとするのである。
ラッフルズの表の顔は有名なアマチュアクリケット選手である。実力的にはプロになってもおかしくないくらい。クリケット選手として大金持ちに招待されて、そこで泥棒をしたりする。
ラッフルズは変装の名人というか、変装用の衣装を揃えてあってそこで変装をして別人として出入りする変装小屋も持っている。
また、二人を追いかけるレギュラーのマッケンジー警部(スコットランドヤードに勤めるスコットランド人)もなかなか手強い。
ラッフルズの盗みの計画は緻密だという設定だが、それでも予定外のことが起きて、その場の機知で切り抜けることが結構ある。
怪盗ものとしてよりも二人の関係性が面白い本であった。
ラッフルズを知ったのは、完全犯罪大百科を読んだから。