ネギ式

適当に生きるおっさんのブログ

読書感想:反逆の勇者と道具袋

図書館で借りた本。

小説家になろう掲載からの出版というやつ。いじめらられていた高校生が異世界に勇者として召喚される。しかし、主に召喚側の不手際により、勇者として与えられるはずの能力は与えられず、剣も魔法も使えず字も読めない最弱の勇者になってしまう。

出来ることは、言葉が通じることと魔法の道具袋(ゲームのアイテムボックスとかそういうやつ)を使うことだけであった。道具袋は実体として存在する袋で、収納は無制限、どれだけ入っていても袋としての重量は変わらない(軽い)。そして魔法の道具袋を使うことが出来るのは勇者だけである。

魔王はいるけど、停戦しているので特に魔王を倒す必要はないようだ。前の勇者が道具袋に入れたままにしておいた宝物を取り出させるために勇者を召喚したらしい。

というようなところから始まり、勇者を召喚した王家の陰謀で前勇者が入れた宝物を全部出した後で、魔王退治に行くことになるという話。

そして、ワンアイデアで本の中盤で魔王を倒してしまう。そこからは、かなり迷走して、短いシーンの継ぎはぎで勇者が戻ってくるまで。

なろうの文体では読めないかと思ったが、そんなことはなくて最後まで読むことが出来た。誤字も一ヶ所しか気付かなかったし。

しかし、後半から作者が苦しんでいるのが分かるのだが、これ、図書館にシリーズで置いてあったのである。この後何冊も続くのだ。恐ろしい。途中から急にうまくなるということもあるので即断は禁物であるが。

あと、冒頭で主人公はいじめられているのに、後半では日本が理想社みたいに語られていて驚く。前半は、なろう的なスクールカースト下位の少年、そして転生後も最弱とけなされた勇者が、これまで見下して来た相手を逆に見返すというパターンの話(俺は見返してすごいだろうというだけだと復讐だとは思わないのだ)、後半は異世界現代社会の理想を押し付けようとする話。なので、シリーズが続くと異世界理想社会である日本にするという話になりそうな気がする。

たぶん、ヒロインが1人しかいない、いや2人、3人いるかも知れないがやや弱い点がアニメ化されない理由であろう。