ネギ式

適当に生きるおっさんのブログ

アニメ感想:ふらいんぐうぃっち

今頃、最後まで見たのである。いや、実は放送時に配信で1話を見たのだが、なんと1話の途中で切ったのであった。dアニメストアでまた配信されたので1話を見てみたら、これは主役木幡真琴の天然ボケを楽しむアニメかと思ってその後の話も見たのであった。

結果的には、天然ボケよりもやはり桃源郷的な異世界東北の話であった。桃源郷というか、ユートピアというか、天国というか極楽というか、異世界転生ものの異世界を中世風から東北風にしたような世界。すべての人が善意に溢れていて悪い人が一人もいない世界。自然はただひたすらに美しく恵みにあふれている。主人公の姉の木綿茜はちょっとトラブルメーカーだけれど、まったく悪意はなくて、彼女に迷惑をかけられた人も最終的にはまったく恨むこともなく終始なごやかで微笑みに包まれている。

第1話で東北の街にやってきた木幡真琴は、降ったばかりの雪ではなくて道端に残っていた(あるいは積み上げられていた)雪を見て、あまりにも純白で美しいのでその雪を食べようとするのである。黄泉戸喫(よもつへぐい)だと最初に見たときに、私は思ったものである。今回は真琴のとんでもない天然ぶりを示すエピソードだろうと解釈してその後の話を見ることが出来たというわけ。

アニメを最後まで見てみると、やはりこの世界は理想郷であり、そして理想郷というのは死後の世界でもあるというように解釈した。天国という言葉だって理想郷であり死後の世界でもある。宮沢賢治作品も風刺的な意味が少なく理想を描く度合いが強いものは、死後の世界っぽさがある。宮沢賢治は仏教の人だから理想郷は極楽浄土であろう。このアニメも天国とか極楽を描いているというのが私の解釈である。東北鎮魂のアニメだ。

 

第1話 6年振りの不思議

第1話 6年振りの不思議

  • 発売日: 2016/04/13
  • メディア: Prime Video
 
ふらいんぐうぃっち コンパクト Blu-ray BOX

ふらいんぐうぃっち コンパクト Blu-ray BOX

  • 出版社/メーカー: バップ
  • 発売日: 2018/12/19
  • メディア: Blu-ray
 

このアニメで草取りをするシーンがあるが、かなりの広さの場所なのに手で草を取っている。除草剤や草刈り機を使わないのは自然主義者の理想郷だと考えれば理解できるが、草取り鎌も使わないのである。これは鎌が死神の鎌を連想させるので、この世界の人たちは無意識のうちに鎌を怖れて使わないのであろう。後の山菜採りのエピソードでも鎌を使わないのでこの解釈は補強された。

第1話の題名からして「6年振りの不思議」で放送が2016年だし、原作漫画が2012年からの連載だから、私の解釈でいいはずだ。東北関東大震災で死んだ人たちが震災が起こる前の生活を理想郷東北で続けているという話なのだろう。