なろう系の影響が海外作品にも……そんな訳ははない。
訳者あとがきの最初に作者の言葉が引用されている。
「昨今のファンタジイって長いし暗いし重いし、読んでいて肩が凝っちゃいませんか?」
これで嫌な予感がしたんだけど、まさにそうであった。俺にとってはハリー・ポッターと同じくらいつまらない作品であった。表紙を見るとちょっとBLっぽいんだけど、実際はそうではなく、いっそBLだった方が良かったような気がする。
盗賊が活躍するピカレスク・ロマンってどこがピカレスク・ロマンやねん。ピカレスク・ロマンっぽいのは最初の導入部だけやん。それも後からの説明で悪そうにしているだけ。賢そうな王女様は後半は囚われの姫君という人形化するし、馬鹿みたいな王子は後半になると出来た王子人形みたいになるし。越後屋、お主も悪よのうという敵側の目論見ばらしもあるし。差別されているエルフを主人公が助けたりするし。
後半のアクションシーンは特に映像的で、映像として見なければ魅力がない。なんというか、物語的なハラハラドキドキはなくて、映像的なハラハラドキドキしかない。
逆に言うと、なろう系は日本のなろう系だけが悪いんじゃなくて、ゲームやなんかいろいろなものの影響で陳腐なファンタジー世界のテンプレが世界的に出来ているということなのだろう。
もちろん、やたら長いファンタジーも鬱陶しいけどね。