図書館で順番を待って借りた阿津川辰海のノンシリーズ短編集。
面白い。どの作品もコロナ禍中の世界。
危険な賭け:珍しく足で稼ぐハードボイルド探偵もの。ハードボイルド探偵らしくバーに行くが、バーのカウンターはパーテションで区切られているというコロナ世界。他の作家なら同じ探偵でシリーズにしそうな探偵を使い捨てにするのがよい。そして本に関する蘊蓄とかもよい。
二〇二一年度入試という題の推理小説:大学入試に犯人当てミステリが出題されるという話。入試問題の間違い指摘とミステリの別解とをかけたようなネタ構成。実にふざけていてよい。
六人の激昂するマスクマン:コロナ世界なのでプロレスの覆面と不織布マスクを両方して会談する大学のプロレスファンという設定と、阿津川辰海の以前の作品「六人の熱狂する日本人」のセルフパロディというかセルフカバーというか。馬鹿馬鹿しくて良い。