いつも頭の中にエンタメ作品とは何かみたいな疑問があって、特になろう系作品が多くアニメ化されるようになってからは、面白いってどういうことだろうと考えたりしていた。
そして、出来の悪いエンタメ作品あるいはドラマなどを評する言葉として「小学校の学芸会じゃあるまいし」という表現があり、それじゃあ小学校の学芸会ではどんなものをやっているのかと思い、図書館でこの本を借りてみたのである。
面白かった。
特に前半はよかった。ピーターパンが四人出てくる「ピーターパンのいる島」という作品も、別に主役が四人いるわけではない。というか、タイトルにもあるように、この本に掲載されているシナリオは特に主役はいない。ピーターパンも全然主役ではなく、むしろ主役は海賊船の船長と子分たちの方である。
エンタメは読者視聴者のために書かれるものだが、児童劇のシナリオはそうではなく、演者のために書かれるものだ。見ている人が楽しむことが目的ではなく、演じる児童が楽しむためのものである。
でも、ちょっと考えてみると、キャラクター小説というものも登場キャラクターのキャラクター性を発揮するために書かれているとするならば、それは児童劇と共通点があるのではないだろうか。キャラクター小説の読者は、児童劇を見る親のように登場するキャラクターの演技を見ているのではないかと思ったのだ。
そうするとタレントの演じるTVドラマなんかも、タレントのファンが子供の演技を見る親のようにタレントの演技を見るものなのだろう。
でも、この本の後半の高学年向けのシナリオは男の子と女の子の対立とか歴史の授業とかが出てきて面白くなかった。やはり俺はフィクションが好きだから。