dアニメストアで見放題に入ったので見た。2021年の映画。
実写映画の監督の話のアニメである。面白い。傑作。
でも俺は実写映画は好きではないのでこの作品も見る予定ではなかったのだが、ポンポさんのキャラクターデザインを見たら写実的ではなく漫画的だったので、見てみることにした。
なお、ポンポさんはこの映画の主役ではなく、主役は新人監督のジーンのようだ。
ポンポさんが映画は90分がいいと言っていて、作中作も90分でこのアニメ自体も90分のところはよい。
でも俺は実写映画は好きではないし、このアニメの新人監督ジーンの撮る作中作も好きではない。芸術作品じゃないか。特に追加のシーンは巨匠の心の動きを描いた感動部分。余分な金をかけてまで追加するようなシーンとは思えない。ポンポさんはジーンに甘すぎる。
このアニメ自体としては、監督の同級生の男はいらないと思う。それよりも、新人女優ナタリーの失敗とかを描いた方がよかったのではないかと思う。作中作でも大俳優中心でナタリーが弱い気がする。それから、ジーン監督の同級生のシーンを見ると、なろう系で人気のある「見返してやる」系の匂いがすると思うのである。
でも面白いことは確かなのである。
でも好きじゃないのも確かなのである。主人公が何らかの問題に直面してそれを解決するのがストーリーの基本だと思う。そして問題が外部にあって撃破するのがエンタメ、問題が主人公の内部にあって克服するのが芸術というのが俺の分類なのだ。この作品ではジーンの外部環境は凄まじく恵まれていて、ロケの天気にまで恵まれている。監督としてどう作品を編集するかという点が問題で、結局は監督としての我が侭を通すという形で解決する。そうすることで作品がよくなるということ。ここが好きじゃない。
SHIROBAKO劇場版でも監督の我が侭を通すのだが、そっちの方が好き。それはエンタメとしてアクションシーンに力を入れるから。芸術として俳優の心理的な流れの描写に力を入れたのとは違う。
という訳で、この作品はこの作品として傑作だと思うが、俺はSHIROBAKOや映像研の方がずっと好きである。
でもSHIROBAKOも映像研も、この作品同様に作中作はそんなに傑作じゃないと思う。作中作で比較的よいのはSHIROBAKOの「えくそだすっ!」だな。最終回にギャグっぽさがあるから。
なんか、芸術関係は階級社会じゃない? 現実だけでなくこの作品でも。ポンポさんも恵まれた環境にいるし、ジーン監督の生まれはともかく、ポンポさんに見いだされた時点で、恵まれている。貴族に生まれるか、貴族に取り立てられるか。それしか道はないのか。いや、ポンポさんもジーンも才能はある。貴族でも才能のない人は成功しないけど、貴族でなければ才能があるかどうかも判定される段階にない。
あと新人女優役が声優の声ではないね。いや、新人らしくていいとも言えるが、新人女優の新人女優らしいいいシーンを入れるのは難しかろう。SHIROBAKOで新人声優鈴木京子役に金元寿子を使った水島努監督の勝利。