ネギ式

適当に生きるおっさんのブログ

エンタメ考察:一宿一飯の恩義

トライガンを見ていたら、やはり西部劇はいいなぁとか思ったり、いろいろ考えているうちに、時代劇のことを考えるようになった。そして、水戸黄門は時代劇としては例外だよなぁと思ったのである。

私の考える典型的な時代劇(TVシリーズ)は、流れ者の主人公がどこかの宿場町にたどり着いて、行き倒れになりそうになって茶店の美人の娘に助けられて飯を食わせてもらう。そこの茶店に難癖をつけに来るヤクザがいて主人公がそいつらを追い払う。これが主人公対多人数の雑魚という戦い。それからいろいろあって、ヤクザの用心棒が出てきて、用心棒との一対一の決闘。これがボス戦。娘には想い人がいて結ばれる。主人公はカップルを祝福して宿場町を去っていく。とかいう感じのもの。

でも世話になるのは茶店ではなくて、弱小ヤクザということもあり、つまりは主人公には正義があるという訳ではない。視聴者が共感するような事情があるという程度に過ぎない。それでも主人公が命をかけて戦うのは一宿一飯の恩義があるからである。まあ、それ以外にも、主人公が自分の命を大切に思っていないというのもあろう。

そこで思ったのは、一宿一飯の恩義というのは戦いの理由として素晴らしいということである。正義でも愛でもないくだらない理由で命をかけて戦う。主人公の強さはもちろん羨ましいのだが、それ以上に、自分の命をなんとも思わない流れ者としての生き方が素晴らしいというか、素晴らしくないというか。そういう生き方に憧れる気持ちもありながら、そういう生き方はできないという気持ち。正義でも善でも愛でもなく、それは自由な生き方なのである。

正義とか愛とか世界を救うとか大仰すぎるんだよね。チャンバラで強い主人公が勝つというエンタメなのだから、そんな大層な理由付けはいらないのである。

まあ、自分の命を大切に思っていないのはひとりものの浪人、つまり無職だからである。子供を主役しなければならない昨今のエンタメでは難しい。

 

第一話 女だてらに強かった。

第一話 女だてらに強かった。

  • 発売日: 2016/09/14
  • メディア: Prime Video