ゾン100 6話のネタバレあり。古いアニメについてもネタバレあり。
「ゾン100~ゾンビになるまでにしたい100のこと~」の6話のことですね。それまでは主に生きるために必要な食料とか、逃げるために必要なバイクとか、ゾンビと戦うために必要なシャークスーツとかを盗んでいたのに、6話では金の腕時計という不必要なものを盗んでヒャッハーしてしまった。
そしてその不必要な盗みに対する物語上の罰として、主人公は奴隷化されるのである(ブラック労働みたいに描写されているけど、実質奴隷化なので)。
でもゾン100に限らず、ポストアポカリプスものでは盗み放題なのが面白さの一つ。厳密にはポストアポカリプスとしてのシーンではないけど、「ゼーガペイン」で守凪了子が覚醒後にコンビニでアイスクリームを盗み、スクーターも盗んで、ふたりでイチャイチャするシーンも楽しいシーンとして描写されている。その後、物語上の罰も受けているけど。
ポストアポカリプス世界では現代社会の秩序が崩壊しているので、盗み放題だし、相手がゾンビなら殺し放題なのである。現代人は現代の秩序の息苦しさを感じているので、秩序の崩壊した社会であるポストアポカリプスものが好きなのだろう。
ところが、俺の好きな「ビューティフル・ドリーマー」ではコンビニから商品を持ち出す際に、レジを打ってレシートを出し、借用書を書いているのだ。こんなことする必要ないという意見も出ているのに、けじめとして、秩序は維持されているのである。借用書を書いたところで取り立てされることがないと分かっている。無意味な行動とも言えるが、書いても金銭的な損はない。つまりは秩序を維持するかどうかである。この場合、その秩序を破って万引きしたチビが過剰な制裁を受けている(これは全体主義批判にもなっていると思う)。そしてこの借用書はあたるの両親の小市民的な臆病さを見事に表してもいる。だいたい、うる星やつらのキャラは普段から秩序を破っているので、いまさら盗みなどという小さな秩序破りをする必要はないのである。
守凪了子覚醒シーンは守凪が世界の仕組みを理解してしまったことを示している。つまり世界が仮のものでありそこでの秩序も仮のものであるということ。その絶望とそこからの意識の転換としての反倫理的行動なのだろう。
一方、ポストアポカリプスもので物資を調達する際に借用書を書いたら面白さが台無しだ。やはり普段出来ない願望である盗み放題をしなければ。