ネギ式

適当に生きるおっさんのブログ

読書感想:ゴーレム100

山形浩生の解説は読んでいないので、この感想は山形浩生に汚染されていない山形浩生は強烈な個性と強烈な文章を書く人なので解説を読んでしまうと自分の感想が上書きされてしまうので、読まないようにしているし、読まない方がいい。

ベスターは「分解された男」と「虎よ虎よ」しか読んでいないが、このゴーレム100はその流れの先にあるような気がする。まあ、タイポグラフィが(たぶん著者自身による)挿絵になったというだけの理由だが。

最初の印象では、殺人やレイプが日常的に起こる街ガフで、異常な殺人が起こってその原因を探るという話かと思ったが、異常な殺人は冒頭だけで、それ以後はレイプ(殺人には至らない)と(比較的ふつうの)殺人が起こるだけだった。死体の肉が消えて骨だけが残るという怪奇現象はあったが。

たぶん、この小説の本質は下品な文章で事件を語るという点にあるのだろう。あとはドラッグ小説的な描写かな。ドラッグ小説的な描写が猥語を多用した文章で語られる。ドラッグは詳しくないけれど、LSD系のような気がする。放射性元素を使った架空のドラッグだけれど。

ああ、そうそう、フロイト的な世界だね。イドの怪物とか。フロイトを猥語で語るような語り口。ストーリーはあまり意味がなくて、猥語とフロイトとかユングとかの世界描写の小説かな。

そういや、フロイト(というインチキ)は脳科学(というインチキ)によって駆逐されたんだっけ?

 

ゴーレム 100 (未来の文学)

ゴーレム 100 (未来の文学)