ネギ式

適当に生きるおっさんのブログ

漫画感想:連ちゃんパパ

togetterがはてブされていたので、漫画図書館Zで読んだ。

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ダメ人間もの。吐き気をもよおすという程ではない。強(したた)かな底辺の人間の話。レイプ以外はそんなにひどくない。一回自殺未遂に追い込んでしまっているが、単に追い込みを見様見真似でやっただけで自殺は予定外だっただろう。なにしろ主人公自身が同じようなことをされて、それでも強かに生きているので、この時点では自殺するとは思わなかったようだ。

こういうダメ人間ものというのは、日本文学の伝統だそうだ。私小説とかでよくあると聞いた。いや詳しくはないけど。映画に向いているという評もそのへんのことを言っているのではないか。

この漫画ではパチンコ依存だが、連載がパチンコ雑誌というのは、実は納得できる。これはパチンコをしない人にはパチンコの害悪を描いているように見えるかも知れないが、パチンコをする人間にとっては、パチンコあるあるでもあるし、俺はここまで落ちてはいないという話でもあるので、ウケはいいと思う。(私はパチンコをしないけど)

ただ、そんなに面白いわけでもない。うまく周囲の人間を騙して金を儲けることもあるが、失敗することもある。儲けてもパチンコでなくなるけど。失敗しても教訓じみたものはない。パチンコですったのと同じ程度か。

フィリップ・K・ディックだったかが、ドラッグの恐ろしさを描いた小説を書いても、それを読んだ読者がドラッグに手を出してしまうというようなことを言っていた気がするが、転落する人に共感する気持ちは結構あるものだ。ゲームマニアの話とか、それ以外の分野でも沼落ちの話は面白い。

最底辺に落ちつつも、そこで周囲の人間を食い物にするような行動を取るのは、西原理恵子の漫画にもあったように思う。その手の人間は私には強(したた)かな人間と見える。この主人公は数ヶ月パチンコをしていなかったりするのでかなりまともではないか。

むしろこの漫画で問題なのは家族関係ばかりが強調されて、児童保護施設に否定的であることだろう。

しょせんは弱者であって、邪悪というほどではない。真の邪悪さは権力を持った者が弱者に対する場合に発生する。あるいは大勢で弱者をいたぶるときに私は人間の真の邪悪さというものを感じるのである。