おれはこの抜き打ちテストのパラドックスに一時囚われていて、ずいぶん考えて俺なりの結論は出たのだが、その結論を話しても誰も納得してくれない。たぶん、今回も誰も納得しないだろう。
でも、ROYGBさんに引用されたので、今度は条件を変えて破るのではなく、学生の間違いを指摘する方向で説明しようと思う。
その前に、我々は第一段階としてこのパラドックスが成立するかどうかを考えなければならない。このパラドックスに対する我々読者の態度はおおむね3通りある。
この第一段階を考えるために、箱とか伏せたトランプとかを帽子とかを考えるのも有効である。
ちなみに俺は最終日でもテストは出来ると結論した。おそらく、watto氏もその方向で考えている。それに対してROYGB氏は最終日にテストは出来ないと考えているように思える。
第二段階では、学生の推論の間違っているところを指摘する必要がある。ここでは学生の推論に矛盾があると指摘したい。つまり、教師の抜き打ちテストの設定に矛盾があるのではなく、学生の推論に矛盾があると主張したい訳だ。そのためには登場人物は1人にしておきたい。そして、やはり時間の経過はこのパラドックスのトリックの肝なので、時間の経過を取り入れた別の例を示したい。
ここで次のようなモデルを考える。
箱がABCの三つ並んで置いてあり、その一つに爆弾が入っている。どの箱に爆弾が入っているか分からない。箱の上には「あり」と「なし」の二つのボタンがついている。「なし」のボタンを押すと、箱の中に爆弾があれば起爆装置が作動して爆発する。「あり」のボタンを押すと爆弾の起爆装置が停止し、その後に「なし」のボタンが押されても爆発しなくなる。ただし、この時に他の箱の「なし」のボタンが連動して押される。さらに、箱の上をおもちゃの機関車が走っていてABCの箱の順に「なし」のボタンを押して行く。10分後にはAの箱の「なし」のボタンが押され、20分後にはBの箱の「なし」のボタンが押され、30分後にはCの箱の「なし」のボタンが押される。
あなたはABCどれかの「あり」のボタンを押して、爆弾の爆発を止めなければならない。
図を描けばいいんだけど、結構面倒くさいモデルだから図も面倒くさい。それに、分からん人は図を見ても分からんし、わかる人は図を見なくても分かる。
21分後、ABの箱が爆発していなければ、爆弾はCの箱だと分かるのでCの箱の「あり」のボタンを押せば、めでたく爆弾の爆発を止める事が出来る。
「あり」のボタンが他の箱の「なし」のボタンと連動しているという点がこのモデルの肝である。爆弾がCの箱に入っていたとしても、必ずしも爆弾の爆発を止められない。もしあなたがBの箱の「あり」のボタンを押せば、Cの箱の爆弾が爆発するからである。
ABCのどれか一つに爆弾が入っているという前提で、Bの箱に爆弾が入っていると推論するならば、それは同時にAとCの箱に爆弾が入っていないと推論したということである。これがスイッチの連動で表されている。
抜き打ちテストの問題で言うと、テストが最終日で、かつ最終日までに学生が推論によって他の日だと結論を出していなければ、最終日だと(たまたま)正しく結論をすることが出来る。しかし、学生の推論では更に1日前に戻ってその日だと結論出来ると言っている。ここに学生の側の矛盾がある。最終日の1日前が試験だと結論するということは、最終日は試験ではないと結論することである。従って最終日の試験は学生の予想外・推論外であり試験は有効なのだ。学生の予測が外れた=抜き打ちテスト成功という訳である。
図がないから分からんと思うかも知れないが、図がなくて分からん人は図があっても分からんだろう。(図を描くのが面倒なだけ)。
