なんかネットでやたらと評判のよい劇場アニメ「鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎」が早くもdアニメストアで見放題になったので見てみた。
なのだが、どうもピンと来なかった。「水木しげる原作」というよりも「故水木しげる先生に捧ぐ」という方がふさわしい作品であるという印象だ。
作品の出来は良いし、プロが作っているのも確かだが、俺はプロの手による二次創作という印象を受けた。
どうも俺は二次創作というものを、作品や作者を大好きなファンが行なうファン活動としての創作と思っていて、それを読んだり観たりしようという気にならないのである。著作権がどうとかではなく、他のファンの作品愛を俺が観賞するという気にならないのだ。
というわけで、この作品については、観たけど感想の対象外というのに近い。
どうやら俺は現代のオタクではなくて、古代種(というか変種?)のオタクであるようだ。頼まれてコミケで売り子をしたこともあるし、文学フリマで出展したこともあるが、その際に会場で二次創作作品を買ったことがない。常にオリジナルだけしか買っていないのである。
一冊だけ持っているは「マリア様がみてる」の二次創作同人誌「薔薇のお昼寝」。これはマリみてが好きだと言ったら、同人の一人から貰ったもの。漫画家の山名沢湖も描いているが、山名沢湖は何を描いても山名沢湖のキャラなのがよい。しかし、これを見ても作品愛が微笑ましいというようにしか俺は感じない。追記:探したらマリみて本3冊あった。さすがに3冊は貰えないので、金を払ったかも知れない。
しかし、ゲゲゲの謎が二次創作なら、アニメ化だって二次創作、ましてアニメのオリジナル回も二次創作になるのではないかという反論もあるだろう。でも俺の感覚としては、アニメ化やアニオリ回は二次創作ではないと思っている。
ゲゲゲの謎は、水木しげるらしき人物が登場したり、「総員玉砕せよ」あたりからの回想シーンがあったりするところに、水木しげるを敬愛する気持ちが溢れていて、その愛が俺にこれは二次創作だとささやくのである。
考えてみると世の中には昔からそういう作品があって、一つの例としては、コナン・ドイル以外の作家によるシャーロック・ホームズを主人公とした作品群がある。明白なパロディもあるが、どうやらパロディ色は薄くて正当続編とも言えるような作品もあるらしい。そういうものの存在はなんとなく知っていたが、全然読みたいという気持ちになれないのである。
仮面ライダーやウルトラマンやゴジラが最近続けてリメイクされているが、これらも観ていないので分からないが、今振り返って評判をみると、どうもオリジナルへの愛に溢れている二次創作なんじゃないかと感じる。アニメが多すぎるので特撮は見ないという方針で避けていると自分では思っていたが、二次創作っぽいからというのも避ける理由になっていたのかも知れない。
どうも俺は他のファンのまっすぐな作品愛に耐えられないようなのだ、すこし捻くれてパロディになっていれば耐えられる(というか大いに面白がる)のだが。