ネギ式

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読書感想:ウースター家の掟

天才執事のジーヴスシリーズ。

 

バーティの行動原理であるウースター家の掟とは訳者あとがきによると

「ウースター家の掟」の第一条は「汝、友を落胆させるべからず」であり、その第二条は「汝、女性の求愛を拒絶するなかれ」である。

本文中では「友だちを助けるためなら、自己犠牲を厭わない」ようなことが書かれていたと思うが、どこだったか探せなかった。

今までの作品でもバーティは貴族で金持ちらしいことが示されていたのだが、この作品ではスティッフィーの「バーティのところにはお金がうんうんうなってる」という台詞で明示された。

ところで、このシリーズ、バーティ・ウースターの親戚はいろいろ出てくるのだが親や兄弟が登場しない。アニメなんかで都合よく親が登場しないものがあるが、そういう感じだ。検索するとどうも親は亡くなっているらしいが、父親が良く言っていた言葉とかそういう形ですら親が登場しない。その分、伯母(叔母)さんや伯父(叔父)さんがたくさん登場する。

この作品「ウースター家の掟」は、二組のカップルと銀のウシ型クリーマーと革の手帳、そして警官のヘルメットを巡るかなりドタバタした話である。

ガッシーとマデラインの婚約カップルの騒動だけでも一冊の長編があるのに、そこにさらにスティッフィーとハロルドの婚約カップルも加わって大騒ぎ。ダリア叔母さんもやってくるし。

これまでに読んだジーヴスシリーズの中でも最高に面白い

特にバーティとジーヴスがスティッフィーの留守にその寝室に侵入して、犬に襲われて戸棚の上に逃げるのだが、しばらくその戸棚の上で会話が続くのがおかしい。

最後の最後までバーティはピンチだったし、ピンチを脱してもカップルたちの問題は解決しないのかと思っていたら、全部解決してしまった。意外だった。

そしてもちろん、ジーヴスの願望は叶うのであった。

ジーヴスはもちろん凄いのだが、何といってもバーティが気のいいマヌケというか、ほんといい奴なんだよ。金持ちで貴族だが、いい奴。それに他の登場人物に比べれば、バーティも特に際立ってマヌケという訳ではないし。

そして女性陣が身勝手というか、大概にしろよという感じだ。ただ、ダリア叔母さんが最後に見せた愛情は素晴らしい。

意外なところで漫画の「静かなるドン」との共通点があった。