図書館で借りたジーヴスシリーズの短編集。
このシリーズの楽しみ方が分かって来て、面白く仕方がない状態である。
バーティがジーヴスを雇った時の話から、前の作品で出ていた、バーティが女子高で講演した話まで。
現代人からすると、差別的と感じられる表現があったりして楽しめないかも知れないが、俺は戦後生まれ昭和生まれなので全然問題ない。
これのよいところは、主役のバーティが気のいい間抜けであることだ。貴族階級でそこそこ金持ちで遊んで暮らしているが、友達を助けようという気持ちがあるし、ケチでもない。そして間抜けであり、間抜けだと周りから言われ、自分でも認めているが卑屈ではない。
俺の知っているマンガに例えると、登場人物全員を間抜けにした「有閑倶楽部」の世界。アクションはないけど。
そしてバーティとジーヴスのBL疑惑は深まるばかりである。なんといっても、最後に掲載されている女子高講演事件では、ジーヴスが語り手なのだが、ジーヴスはバーティの結婚願望を打ち砕くために行動するからである。ジーヴスは独身主従でずっと楽しくやっていきたいようだ。
この事件の女子高生も実に女子高生らしい残酷さがあってよい。「集団の女子高生ほど恐ろしいものはない」って何かの少女漫画にあったセリフだと思うが、この作品でも同じようなことが言われている。
そりゃあバーティも、独身主義になるわけだよ。
そして、この女子高講演事件で散々な目にあったバーティなのに、別の作品では「講演なんて簡単だ、僕は女子高で講演したことがある」なんて言っているのがまたバーティらしくて可笑しい。