ネギ式

適当に生きるおっさんのブログ

読書感想:令和版 全訳小説 伊勢物語

図書館で借りた本。全訳小説という言葉に引っ掛かりを覚えたが、読んでみたら「全訳小説」だった。

全訳というのは、伊勢物語百二十五段全部を現代語に訳しているという意味である。伊勢物語の他の現代語訳には百二十五段全部を訳していないものがある。

そして「令和版」というのもよく分からないが、「元の彼女」だか「元の彼氏」だか、そんな訳があって、これは「元カノ」「元カレ」ということだろう。令和かどうかは分からないけど、昭和ではないなと思ったのである。

小説という点では、最初に在原業平の経歴とかの説明があって、時代小説の中でその時代の説明をするようなものかと思ったのである。そして第一段からしばらくは、時代小説風だったのだが、途中からは単なる原文の現代語訳のような部分もあり、また細かい説明がついたりして、なんかバランスが悪い気がした。

原文の伊勢物語でも、細かい話の載っている段と、ほぼ和歌の詞書(ことばがき)程度の事しか書いていない段があるので、仕方がないとも言える。しかし、最後の業平の死のところですら、単なる現代語訳でしかないのは、まとまりが悪いと感じる。