ネギ式

適当に生きるおっさんのブログ

読書感想:ウッドストック行最終バス

図書館で借りた本。モース警部シリーズの1冊目。

名探偵は推理を最後まで語らない傾向があるが、モース警部は途中でもどんどんその時点での仮説を話す、というか、仮説を立てて捜査をして、その仮説が正しいような間違っているような結果になるが、捜査は少しずつ進んでいく。

これには好感が持てる。俺もプログラムを書く時にとりあえず適当に書いてからデバッグするから。

その仮説自体が妥当かどうかはともかくとして、何かしなければ捜査は進まない。仮説が間違っていると分かってもまた前進だ。

そしてなんというか不思議なユーモアがある。以下はハヤカワポケットミステリの252ページ中の99ページにあるのだが、イギリス流のユーモアなのだろう。モース警部と相棒のルイス巡査部長との会話である。

「ルイス、われわれの事件の取組み方はまちがっていたようだ」
「そうですか?」
「われわれは殺人犯人を見つけるために事件を解決しようとつとめてきた、そうだな?」
「だいたいそうだと思います」
「だが、その逆の方が効果的かもしれない」
「つまり、あなたのお考えは……」モースは待ったが、ルイスには彼が何を考えているかまったく見当がついていないことは明白だった。
「わたしの考えは、われわれは事件を解決するために犯人を見つけるべきだということだ」
「わかります」ルイスは呑みこめずに言った。
「わかってくれてうれしい」モースは言った。

カバー裏には本格探偵小説と書いてあるが、いわゆる「本格ミステリー」ではないと思う。99ページの時点でこの有り様である。私も読んでいて全然犯人が分からなかった。というか事件が分からなかった。事件を解決するには犯人を見つける必要があったからである。

でも、なんか重要なポイントは最初から書かれていたようだ。ユーモアはあるが、ちゃんとミステリーしている。警察ものなのでクリスティのようなパズルミステリーではないけれど。

 

モース警部シリーズはドラマにもなってるんだな。

しかし、欧米のミステリーでは実によく酒を飲む。たとえ警察官であり、また勤務中であっても。