なんらかのミステリー。
探偵ではない百之喜(もものき)太朗の事務所に依頼があって事件の捜査が始まる。百之喜は探偵の許可証を持っていないので探偵ではなく、仕事をやる気もないし、探偵らしいこともしない。主人公ですらないかも知れない。
この本では主人公らしいこと、探偵らしいことをするのは弁護士の雉名俊介である。あと探偵助手らしい男が何人か。
面白かった。
百之喜は事件の真相に関係するものに偶然行きあたってしまうという特殊体質で、それをきっかけに事件の捜査が進展するという仕組みである。凶器あり、指紋あり、目撃者あり、動機あり、アリバイなしの被告の無罪を証明する。と裏表紙に書いてあるが、まあ、アリバイはなんの関係もないし、目撃者も動機も決定的ではなく、指紋のついた凶器だけの問題で、パズルミステリーではない。
旧家のどろどろした風習みたいなものが話の主体だが、当事者も登場するものの、基本的にはよそから見た異常な存在としての旧家を描いている。特に女性を抑圧する旧家の風習みたいなもの。
旧家も金持ちだが、それ以上に謎の存在の銀子さんが、謎の金持ちで目立っているが、直接には登場しない。