ネギ式

適当に生きるおっさんのブログ

読書感想:リヴァイアサン号殺人事件

ファンドーリンの捜査ファイルシリーズ。またしても不満。

ファンドーリンは登場するけれど、視点人物ではない。この話は、ある事件の容疑者たちが、代わる代わる日記や手紙などでリヴァイアサン号の航海の記録をしていくという形で書かれている。記述者のなかに犯人がいるはずで、ということはミステリー的には信頼できない語り手ということになる。

ひとりならともかく、何人もの信頼できない語り手による記述を読まされるのは娯楽小説読みにはツライ。まったく文学者ってやつらは余計なことをしやがる。

デカメロンは読んでないけど、SFファンに名高いハイペリオンがこんな構成で、面倒くさくなって途中で投げ出してしまった(途中で投げたのはハイペリオンで、リヴァイアサン号殺人事件は最後まで読んだ)。

ミステリというのは馬の鼻先に人参をぶら下げるように殺人への読者の興味で読ませるものだが、馬だっていつも騙されるわけではなく、俺くらいになると、この人参は食べられないのではないかと疑問を持つのだ。まあ、最後は人参にありつけるとしても、短距離ならともかく長距離を一本の人参で走らされるのはツライ。

人参がなくて、単にいろいろな人がいろいろな話をするだけなら、変な勘ぐりをしないで素直に読めるのだが。

でもこの作品は映像化されているようで、映像で見れば、変な文学的趣向が消えるか薄められるので、そこそこ面白いのではないかという気がする。