ネギ式

適当に生きるおっさんのブログ

読書感想:雲の王

ちょうど台風の話だった。でもこの作品は好きになれない

超能力気象予報士みたいな一族が登場する。いや、無理だろう。昔からいる超能力気象予報士って、絶対無理だろう。無理無理。気象災害を予報して災害を防ぐ超能力者一族は無理。それは無理。絶対に、災害を招き寄せる一族だと思われる。災害を予知したのと、災害を招き寄せたのは、科学以前の思考では区別がつかない。

そもそも気象庁とかシミュレーションとかを出しておきながら、なぜ超能力者を出したのか。気象庁現業職が主役って。いや現業職が主役でもいいけど、それが風や水蒸気を見ることの出来る超能力者ってのがどうもいただけない。もっと科学を前に出さんかい!という気持ちである。

勘ぐると、作者はシミュレーションってのが面白くないんだろうなぁ。俺は面白いと思うけど。シミュレーションしたらこうなったというのが、説明がないという気がするのではないだろうか。機械学習で、説明がつかないけど結果が出たみたいなのと同じような印象を持っているのかも知れない。シミュレーションはモデルに左右されるけど、どんどん計算が細かくできるようになると、最終的には第一原理計算みたいになっていくはず。もちろん、気象シミュレーションは第一原理計算からはほど遠いわけだが、モデルは堅実で、こういう結果が出たということに納得感がないのではないか。

俺は現実の気象状況をシミュレーションしようとして、シミュレーションしきれないもどかしさ、というかもどかしさの中で手探りでシミュレーションの精度を上げていく努力に科学の面白さを見るんだけど。