ネギ式

適当に生きるおっさんのブログ

読書感想:ジミー・ザ・キッド

ドートマンダーシリーズ第3作。

落語でもそうだが、お笑いの基本に真似をして失敗するというのがある。時そばとか、青菜とか。今回、ドートマンダー一味は本の内容を真似して誘拐をしようとする。いや、ドートマンダーは乗り気じゃないんだけと、相棒のケルプがしつこく勧めるので話に乗ってしまうのである。

その本というのがこのシリーズの著者ウエストレイクの別名義での人気シリーズ「悪党パーカーもの」というのが人を食っている。(ちょっと調べたところ、ここで真似している作品自体は架空らしい)

誘拐時の取引のセリフまで本のとおりにやろうとして、相手が違うことを言って会話が成立しないとか、実に落語的なシチュエーションを展開してくれる。身代金の入ったスーツケースがドートマンダーの頭に当たるとか、念の入ったコメディである。

しかも誘拐した相手が天才少年で、その少年に助けられて警察の手を逃れるというのもおかしい。

 

 1作目も2作目もケルプのせいでひどい目にあってるんだけど、私が最初に読んだ短編「悪党どもが多すぎる」では、ケルプはめっちゃいい仕事をしているのである。