ネギ式

適当に生きるおっさんのブログ

読書感想:マップメイカー(上)

上下巻の上巻だけで感想を書くのは珍しいんだけど、下巻を読むかどうか迷っているので。

マップメイカーというのは地図を作る人ということだけれど、この本に出てくる主な地図はいわば魔法の地図である。それはGoogle Earthみたいな地図、あるいはヴァーチャル・リアリティの地図に近い。

ところで私は方向音痴で地図がないと道に迷うタイプだが、地図があればまあなんとか迷わずに済む。でもその地図がVR地図だったら、きっと私はそのVR地図の中で道に迷うだろう。その中で道に迷うような地図ははたして地図としての価値があるのだろうか?

VR地図なら矢印とか出せるから道に迷わないという考えもあるだろうが、VR地図で道を辿ったあとに現実でそのとおりに道を歩める自信が私にはない。

というように私はこの本を読んでいると地図とは何かということを考えてしまうのである。たぶん普通の人はVR地図は未来の進んだ地図だと感心するのだろう。だからそれが魔法で実現されていればすごい魔法の地図だと思うのだろう。

一方私は、地図というものは現実の様々な側面を捨象して記号化しているから価値があると思うのである。

いまネットでは、動画で学ぶかテキストで学ぶかみたいな話もあるが、私は頭の固い年寄りなので、動画で学ぶのはかなり難しい。今後新しい技術が出てきても動画しか教材がなかったらその技術を学ぶことは出来ないだろう。動画で学べる人はきっとVR地図もやすやすと理解できるのだろうけれど。

あと、この上巻、前半が第一部探検なんだけど、全然探検してないよ。第一部の最後の最後で切符を買って列車に乗ったけど。旅行ですね。しかし、探検がexplorationの訳だとすると、explorationに対する私のイメージが間違っている可能性も高い。それはWindows explorer のどこがexplorerなのかと思うのと同じことだからである。辞書をみたらexplore Tokyo by subway の訳として「地下鉄で東京を散策する」とあってexploreの訳は探検よりもむしろ散策の方がふさわしいのかも知れないと思ったり。

外国人排斥みたいなネタは現代的ではあるのだけれど。

 

 副題のガラスの地図は、本当に素材が板ガラスで、割れそうな気がするし、主人公も割れないように気をつけているような描写もある。しかし、列車の屋根で活劇をしたりしても、都合のよいことに割れないのである。たぶん、割れない魔法がかかっているのだろう。