ネギ式

適当に生きるおっさんのブログ

アニメ感想:ぼくらのよあけ

ジュブナイルSFという話だが、あえてジュブナイルというのはラノベではないということ。いや、原作が漫画なのでラノベでないのは当然だ。

昔、ラノベだのヤングアダルトだのジュブナイルだのと名称の論争があったときに、ジュブナイルは大人が子供に向けて書くもの、ヤングアダルトは子供(年齢的にはそうでもない作者も多い)が、同じ年代の子供に向けて書くものという説があった。

で、このアニメ(および原作もたぶん)は大人が子供に向けて作った作品という印象が強い。そして大人が子供向けに書いたSFでも面白い作品はたくさんあるのだが、そうでない作品もまたそこそこあるのだ。

破綻が少ない。いや、ツッコミどころはあるのだが、ツッコむとよくない。SFオタクからのツッコミを避けるように作られている気がする。まず他所の星系からやってきた宇宙船があるのだが、この宇宙船が子供たちに見せる宇宙の映像というのが、人工衛星からみたような地球なのである。それ、よその宇宙船なくてもネットで検索すれば見られるんじゃね。ブラックホールの映像とか他の星の映像だとSFオタクからのツッコミが入るからか。

あと、すごいJAXA推しJAXAの作ったAIが世界中のロボットに導入されている。2011年の漫画でJAXA推しなのにハヤブサの話は出てこない。ハヤブサハヤブサで口うるさい人が大勢いるから、うっかりしたことを書いてツッコミが入るのが嫌なのだろう。

そのJAXAのAIが搭載されているロボットが宙に浮いている。プロペラは見当たらない。反重力か?まあ、原作も映像作品なので映像上の見栄えのためだけに浮いているのだろう。

説明が多いのは、分かりやすさが要求される最近の傾向だから仕方がないが、わくわくしないんだよね。子供たちは「わくわくする」という台詞を口にしてるけど。

最後のオチというか結論というかの部分も、大人の意見の押し付けのように感じた。

 

そしてJAXAの作ったAIロボットは嘘をつけないことになっているが、実は嘘をつけることが途中で判明する。これは大変なことだというような台詞はあるのだが、そのままスルーされる。結局、どうでもいいようだ。

探査機である宇宙船を故郷の星に返すってことなんだけど、光速以下で1万年以上かけて飛んできたのでまた1万年以上かけて帰ることになるんだってさ。いや、それはもう宇宙の話じゃなくて、地球で探検隊が新大陸に行って帰ってくるようなスケールの話になるというかなんというか。宇宙なら地球に来るまでの間に途中に電波を中継する装置を何台も残してきて、その装置を経由して電波で報告を送るよね。いや、なんというかもどかしいけどそこが問題じゃなくて、報告を母星に送って、探査の旅を続けるよね。そこがロマン。それなのに母星に帰るってのがスケールが小さいというか、小さな物語における旅の概念になってる。人間じゃなくて探査ロボットというかAIなのに、安っぽい望郷みたい話にまとめているのが小さい。