以前古本市で買った本。1978年発行。
安部公房「赤い繭」
赤い繭、洪水、魔法のチョーク、事業の4編から成る作品が「赤い繭」ということらしい。
大坪砂男「ロボット殺人事件」
三原則ロボットものの殺人事件。理屈は通るが鮮やかという印象はない。
小隅黎「α-ケンタウリ」
世代宇宙船による恒星間航行の計画。作品としての完成度は高くないと思う。小隅黎(柴野拓美)の想いを込めた作品か。
林耕三「猫島物語」
ガリバー旅行記みたいな話か。
城昌幸「幻想唐艸」
幻想的なことは分かったが話はよく分からなかった。
映画モスラの原作。ゴジラ映画のヒットを受けて書かれたと思われるが、それが三人のリレー小説形式になったのは不思議。三人の誰かが言い出したのか、それとも他の誰かが企画したのか。
矢野徹「春の日差し」
トランスジェンダースパイというか、脳移植だな。ハインラインの悪徳なんか怖くないのような。軽妙な話でお色気もある。モンキーパンチ風という印象を受けた。
渡辺啓助「毒魚」
妖しい美女と妖しい魚の話だったか。
田中英光「現代変形談」
性器を動物のものと交換してしまうので、売春をしても処女のまま。男の性器も移植する。
海野十三「大脳手術」
これも身体移植の話。手足も心臓もみんな売って、より質の低い安い臓器と交換する男。と思ったら、このオチはないよな。
木々高太郎「AD2000の殺人」
人間そっくりの人造人間の話。AD2000年が21世紀なのはご愛嬌。
山田風太郎「陰茎人」
生まれつき鼻がチンコになっている男の話。これ、鼻がチンコになっているだけでなく、体の上下の臓器が入れ替わっているという。臓器の位置が左右逆になっているという症例があるが、それの上下版だというSF的な説明。でも脳は頭の中にある。一方金玉も頭の中にある。金玉の皺のせいで脳の皺も増えるとか増えないとか。
これが一番面白かった。バカらしい話が好きだから。
小松左京「地には平和を」
歴史改変というか時間ものというか。タイムパトロールっぽい組織も登場するし。舞台は改変されて玉音放送のなかった日本。