ネギ式

適当に生きるおっさんのブログ

漫画感想:百年の祭り

ネタバレあり。

ブック放題でたかもちげんの漫画「百年の祭り」を読んだ。

連載期間は1991年から1994年。

これは日本の政治が動いた時代なので、漫画としては売れる要素があるとも言えるし、現実に左右されて大変とも言える。

でも面白い。ヤクザの抗争を描いた漫画もエンタメとしては面白い。この漫画もまるでヤクザのショバ争いだと思えば面白い。現実の政治のようだと思うと絶望するけど。

ちょっと調べてみたら、

連載開始時点では、この流れは予測できないはずで、むしろ田中角栄の政治が元になっていると思う。というのは、最初の舞台は新潟県であり、そこの政治、市町村から県議会、そして国政選挙までを牛耳っている桜会という団体が中心となるからである。

そして総理を約束されながら総理になれずに病死した自民党の政治家倉塚哲平、その秘書児島啓示がこの漫画の主役である。旧来の政治を変える政治改革を掲げながら、児島のやることは買収や裏取引など自民党の政治そのままである。ダークヒーローというべきだろう。

「トキの飛ぶ空」とか「アジア主義」とか体裁のいいスローガンを掲げるが、それはあくまでも選挙のためのスローガンに過ぎない。実際には大企業や、ヤクザを使うし、息を吐くように嘘をつき、買収も頻繁にする。スキャンダル写真での脅しもあり。

作中でも他の政治家から批判されている。

しかし、今の政治状況で見ると、この作品は橋下徹の維新や、立花孝志の頻繁に名前を変える政党の出現を予言しているようにも見える。

児島は、暴力団の下っ端の暴力男(一応立候補前に組との縁を切る)とか、ホームレスとか、オカマを衆議院議員選挙の候補者にする(中選挙区の時代である)。思想はない。ホームレスには、国会議事堂の赤絨毯の上でホームレスを集めて酒盛りが出来ると言って、選挙活動をさせる。児島に思想はないけど、その場その場ではもっともらしいことを言う。民主主義の否定も口にするし、自民党政治も否定するけど、やってることは自民党と変わらない。

漫画アクション連載ということで、エロシーンもある。エロシーンというか、女もスキャンダルも政治に利用するという児島をのやり方を表しているので、必然性はあるけどね。

ネタバレだが、最後はどうなるかというと、日本初の女性総理誕生と、その女性総理を裏で操る男になる児島というところで終了である。これも、安倍ガールズみたいなものを予見していたのかも。

「トキの飛ぶ空」とか「アジア主義」はどうなったのか、それは上場ゴールしたのでもはや関係ない。

fialka911氏によるこのブログなんかよりもずっと熱のあるアマゾンのレビュー