こいつはすげーや。大傑作。
冤罪をテーマにしたミステリだが、俺には日本の司法批判がテーマのように思えた。
痴漢冤罪については、いろいろ俺個人としては思うところがあって複雑なのだが、つまり痴漢冤罪は確かに問題だが、それ以上に事件化されない痴漢が多いという問題があり、冤罪だけを取り上げて論じることが出来ないと思うのである。
この作品でも痴漢冤罪は出てくるが、それ以上に冤罪というものについてテーマにしていると思う。基本的には、法制度や法制度の運用に関するテーマなのだが、物語としてはちゃんとミステリーとして読めるエンタメになっている。
主要登場人物の三人がみんな賢くてよい。人によってはこの辺が気に入らないかも。特にヒロインの女性は賢くて、かつ内面を明かさないので、分かりにくいキャラではある。
この作品における悪は、人間ではないと思うのだ。
世の中の事件に対して俺がブコメでよく叫んでいる「不起訴不当!」というのは検察審査会の判決というよりも、検察が勝手に不起訴にすることは一般に不当であるという主張なのだ。
まあ、ハムラビ法典は俺は嫌いだけどね。この場合は、作品を成立させるために必要な要素だとは思う。