水道橋崩落事故あたりで、前から気になっていたことを思い出したので、図書館で借りて読んだ。
2011年の本だけど、現状認識としては正しいと思う。インフラ老朽化の状況は厳しい。一方、対策については全面賛成とはいかない。
機能の集約などは良いと思うし、「選択と集中」という言葉は使いすぎだが、不必要な施設の切り捨ても必要だろう。2010年頃の流行語だったっけ?
問題なのは民間の利用で、これはパソナやツタヤ図書館の問題が知られている現在の状況からすると、民間企業を信用しすぎではないか。もっと厳しく民間企業を監視する体制が必要であり、そうなると参加する企業は減るだろうからさらに厳しい状況である。
それから市民参加も難しいと俺は思う。なぜなら高齢化に対して、国は歳をとってもずっと働き続けろという方針なので、年寄りも、そして給料の少ない若者も地方政治に参加して、よい案を出すなどということをしている暇はないのである。市民参加できる市民は偏った層の市民になる。
プログラマー的に言えば、バグがそこにあることは分かるが、その修正ではさらにひどいバグを生むことになるというような気がするのである。
対策に反対することと、現状認識を否定することは別であり、現状認識は正しいと認めるが、対策には問題があると批判することはできるはずだ。
建物や橋が崩壊すると人命に関わるから、そこはそれなりに急ぐ必要があるが、図書館はそんなに急いでツタヤ図書館にしなくてもいいだろう。(この本では図書館の更新は急がなくていいと言っているので俺も賛成だ)
まあ、耐用年数50年は適当に決めた感じなので、定期点検を前提とすれば100年からそれ以上は使える(インフラも多い)ということだろう。
もっとも過去にあった事故では、目視点検では異常がなかったという例もあるので、点検方法についても注意する必要があるだろうが。