ネロ・ウルフもの。
ネロ・ウルフという探偵の名前は聞いたことがあったが、作品を読むのは初めて。安楽椅子探偵という話だが、確かにネロ・ウルフは安楽椅子探偵なのだが、小説は安楽椅子探偵ものではない。
というか、この小説の主役はネロ・ウルフではなくて、アーチー・グッドウィンだと思う。ネロの助手ということだが、実質的に事件の捜査をしているのはアーチーだからである。かなりの裁量権があってアーチーの判断で捜査が進められる。その捜査は足で稼ぐ捜査である。少なくともこの作品ではそうである。だからこの作品は安楽椅子探偵物ではないというわけだ。
アーチーはハンサムな青年で機転も利くので主役になる資格は十分にある。ネロ・ウルフはずっと偉そうにしていて、最後の最後に犯人を指摘するだけの役で、私にはとても主役とは思えない。
パズルミステリーを期待したのでやや期待はずれだった。