うーん、子供向けのホラー?
子供たちの幽霊が一人ずつ自分が死んだ事件を語るというオムニバス形式の短編集。一つ一つの話は短い。内容も人の悪意があったり、超自然現象があったりとバラバラである。ただティーンエイジの子供が一人称で自分が死んだ事件を話すというだけ。
何が面白いのかよくわからんかった。一人称の恐怖小説はよくあるけど、その場合、語り手は死なないということが分かっている訳で、それが恐怖を減じると考える人はいるのかもしれない。(語り手が死なないというのは絶対条件ではないとも思うが)。逆にこの本では、語り手は最後には死ぬことになっているわけだが、実はその方が怖くないのである(個人の印象です)。というのは、死ぬとわかっていれば、ハラハラする必要もないわけだから。究極のネタバラシと言ってもいい。
何か昔読んだ海外ミステリーで、幽霊が自分を殺した犯人を探すみたいな話が良かったので、そんな感じかと思ってこの本を読んだのだが、とんだ期待はずれであった。
中の一遍は「猿の手」の話なのだが、あの傑作をひねりもせずにそのまま子供向けに翻案したような話でひどくがっかりした。