とうとう読み終わりました。
こうしてみると、表紙にもはっきりと「意志の力」が大きく書かれていて、「沢蟹まけると」は小さく書かれているわけですよ。そしてドイツ語らしき文字も「沢蟹まける」とは思えず、なんとなく「意志の力」っぽい字面なのである。
つまりこれは「意志の力」についての小説なのである。いや、まさにその通りなのだ。それがエンタメになるのかというと、どうもはっきりしない。そもそもエンタメだというのは私の思い込みであって、どこにもエンタメとは書いていないのである。じゃあ、純文学か哲学かというと、そうでもないようである。よくわからない。そういう時には便利な言い回しがあって、「これは佐藤哲也ならではの小説である」というのである。
そのようなエンタメっぽくない小説をどうして私は最後まで読み通すことが出来たのか?
「それは堅牢強固な意志の力によってである」