ネギ式

適当に生きるおっさんのブログ

読書感想:パディントン発4時50分

クリスティのミス・マープルもの長編。ミス・マープルという探偵のキャラは凄い。老嬢の探偵。いやもう老人で女性で探偵だったらミス・マープルになってしまうので、なかなか類型探偵を登場させにくい。ホームズの類型はいっぱいいるのに。やたら天才ぶった探偵が多い中で、ミス・マープルは謙遜することが多いのも好感が持てる。しかし、ミス・マープルの推理法は好きになれない。人を類型で見るのは冤罪のもとだ。

この作品でミス・マープル以上に活躍するのが、スーパー家政婦のルーシー・アイルズバロウ。これって日本のオタク的にはスーパーメイドにあたるだろう。なんとオックスフォード大学の数学科を一級の成績で卒業。その後、学者は報いが少ないという理由で、フリーランスの家政婦となり、上流家庭からひっぱりだこに。

この作品の中でも、ミス・マープルの依頼を受けて潜入探偵として活躍する一方で、家政婦としてのすごい能力で周囲の人を魅了しまくる

ミス・マープルの推理方法は問題があるが、事件の構成はしっかりしていて、読者として「それはない」というアンフェアな印象は受けない。なるほど、してやられたという感じである。ややご都合主義な部分はないわけではないが。実は私がその人なんですとか。そこは推理上でそんなに重要ではないから。