ネギ式

適当に生きるおっさんのブログ

読書感想:犯罪は老人のたしなみ

スウェーデンと言えば福祉大国なのだが、そこの老人ホームに入っている老人たちが犯罪を犯すという話。老人ホームの経営者が変わって待遇が悪くなり、刑務所の方がマシだということで、刑務所に入ろうと意気投合するのだ。(スウェーデンの刑務所はいいところらしい。いや、実際はそうでもないとも書かれているけど)

これ、ミステリーというよりも、ドタバタ劇みたいだが、なにしろ老人なのでテンポが遅い。そして移動は歩行器。表紙にも歩行器を出すべきだ、あるいはサブタイトルに「犯罪は歩行器と共に」とかつけるべきだと思うくらい歩行器が登場する。

老人チームも警察もそれ以外の人たちも、あまり賢くない。まあ、ミステリーだとすごく賢い犯罪者や探偵が登場することが多いが、なんか天才とか形容詞ばかり先行して実際にはそれほど賢くないのではと思うことも多いわけだ。その点、この小説ではそんなに賢くない人たちがいろいろ失敗をしながらなんとなく話が進んでいくのがいい。

そしてなんと、この話は老人のラブロマンスみたいなのである。それもまたよし。老人たちは平気で犯罪を計画するので全然倫理感ないけど悪人ではなく、盗んだ絵を必死で返そうとしたりする。主役の老女はミステリファンで、いろいろ計画するけど、今の行動は無意味だったのではとかいうこともあり、なかなかいい。ミステリファンがやりがちなことだ。

 

犯罪は老人のたしなみ (創元推理文庫)

犯罪は老人のたしなみ (創元推理文庫)