ネギ式

適当に生きるおっさんのブログ

アニメ感想:色づく世界の明日から

私には人の心が分からない。フィクションならば、単なる殺人鬼以上のモンスターである。

さて、この作品では主人公の月白瞳美は、魔法によって未来から過去(魔法が一般的であることを除けば、ほぼ現在)に送られてきてそこで青春を過ごす。一般的にはタイムトラベルはSFだけれど、SFにするといろいろ煩いことをいうやつがいて、いろいろ煩いので、魔法にすればそんなことを言われずに済むという話である。そのへんの連中は本当にうるさいので、魔法にするのは当然であろう。

魔法かSFかはともかくとして、人を過去に送るのはそれなりに大変な行為のはずなのだが、この魔法を使ったのは瞳美の祖母の月白琥珀である。瞳美には世界がモノクロに見えるという問題があり、それは脳や眼の機能障害ではなく、些細な心理的問題から常に世界がモノクロに見えているらしい。琥珀はそのささやかな心理的障害を取り除くために、瞳美を過去に送り込んだのである。

そう、この作品世界の魔法は絶対安全であり、過去のトラウマ解消とかそういう目的で気軽に時間旅行が出来るのである。魔法だからタイムパラドックスもないし。と思ったら、後半になぜか時の狭間に捕らえられるとかいう話が出てきてびっくりする。ささやかな心理的障害を取り除くために孫が消滅する危険を冒したのか?(いや、それは若い琥珀の勘違いで実は絶対安全保障付きだったようだ。なぜなら経験済みだから)。でも作品として時の狭間の設定は必要だったのか?

こういううるさいことをいう俺のようなやつがいるから、作品は作りにくい。まったくうるさいもんだ。

実のところ、「絶対的な別れだけが恋愛を美しく終わらせる」ので、その絶対的な別れとして過去と未来に分かれるという使われ方をしたのだと思われる。

色づく世界というのも、アニメショーン的な心理描写であり、そのアニメーション的な心理描写をするために、世界がモノクロに見える主人公が設定されたと考えられる。

人の心が分かる人間に楽しめる芸術も、人の心が分からないモンスターには難しい。理性のスイッチを切って、感情だけで見れば美しい作品なのだろうが、残念ながら私にはそれがない。

 

色づく世界の明日から Blu-ray BOX 1

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  • 発売日: 2019/02/02
  • メディア: Blu-ray