特別お題「青春の一冊」 with P+D MAGAZINE
この題なら、「スラン」を挙げるしかあるまい。古いのでネタバレありで行きますよ。
いつ読んだんだろう。よく思い出せないが、青春と呼んでいい年代だ。この作品がSFに入り込むきっかけという訳ではない。すでに星新一は読んでいたし、それどころかペリー・ローダンも読んでいた。ヴォークトだってビーグル号は既に読んでいたのである。
この作品、超能力ものというか、迫害される超能力者物である。まあ今から言えば中二病的な作品といえるだろう。現代ラノベ的なパターン化された異能者とは違い主人公は生まれながらの超能力者であり同時に高度な知能を持っている。むしろ超能力よりも知能で活躍する。
あ、ここで主人公の名前をすっかり忘れていることに気がついた。あまりにも昔のことなので、そして老化が迫っているので。まあ、名前なんてどうでもいいんですよ。
この迫害される知能の高い超能力者というのが、「俺様ちょっと頭いいぜ」とか思っていた当時の私にドンピシャリと当てはまる訳です。迫害されているというのも若い時にはみんなそう感じるわけで。
そして、ヒロインの死。ネタバレだけど、絶版だからいいや。ネタバレタグもつけたし。当時の私は今の人が虚淵玄に感じるようなショックを受けたのです。そして、今の私が虚淵を好むのはヴォークトを感じるからかも知れない。
たぶん、いま読み返すといろいろ穴があると思うんだけど、当時は完璧に感じたものです。なにしろ、ヴォークトは虚淵よりは優しいから。
SFの最高傑作なら他にもあるし、古いという点は否めないのだが、私にとって青春の一冊と言われたらコレしかないという本なのです。