2005年のアニメ。
マイメロLINEスタンプ炎上から、マイメロを見始めたのである。見終わった。面白い。さすがは森脇真琴監督である。さっそく次のシリーズの「くるくるシャッフル」を見始めた。
最終回までちゃんとギャグをやっている
最終回52話で、夢防衛少女隊(レギュラーではなく直前の51話で突然結成された)が歌を歌うのだが、その歌詞がひどい。歌詞がひどいことは51話で分かっていたが、実際にそのまま歌うとは思わなかった。というだけではなく、その歌の振り付けもひどかった。マイメロの指揮で強制的に体が動いているらしい。(ポエム少女の書いた歌詞なので、幼くポエミー。でも否定しているわけではなく、そのまま歌詞として採用している)
まえからこのブログで書いているけど、ギャグ作品が最終回付近でシリアスになるパターンが嫌いなので、ちゃんとギャグを続けるマイメロは素晴らしい。
マイメロはなかなか複雑なキャラ
マイメロはタイトルキャラで、特別な魔法を使うのだが、なんというか、そのキャラがなかなか複雑である。とぼけた天然キャラというのが近いと思うのだが、善意のキャラで夢野家で料理や洗濯をしている。クロミちゃんに対しても好意を持っていて、なぜクロミちゃんに嫌われているのか分からず、仲よくなりたいと思っている。クロミちゃんの唐揚げにレモンをかけてあげるくらい親切、というか微妙なキャラだ。主人公キャラにするには微妙すぎる。夢野家のお父さんはダジャレを言うキャラだが、マイメロはそのダジャレが分からず説明を求めて、それから面白いと言う。なんという高度なギャグか。
マイメロママの毒舌を引用するのも、たぶん悪意はない。そのシチュエーションで思い出したママの言葉を言っているだけなんだと思う。
最終回でマイメロがマリーランドに帰ってしまって、次のシリーズ「くるくるシャッフル」ではマイメロがいない夢野家で始まるが、マイメロのいない寂しさよりも、料理をする人がいなくて困るというのが身も蓋もない感じでいい。いや、寂しさもあるし、もちろんすぐにマイメロが帰ってくるんだけど。
クロミちゃん人気は当然
www.nikkei.comクロミちゃんは、マイメロの敵役なのだが、むしろ主役といってもいいくらいキャラが立っている。ちょっとアンパンマンのドキンちゃんっぽい気もするが。
OP曲オトメロディで「夢を叶えて」と歌っているが、そもそも夢を叶えているのはマイメロではなくて、クロミちゃんである。夢というか欲望だけど。
マイメロはクロミちゃんが起こした騒動を解決する役割。このアニメが変わっているのは、人間が魔法を使わないという点で、マイメロのパートナーの夢野歌は魔法を使わない。一応主役なんだけど、魔法関係では途中までマイメロを呼ぶくらいしか役割がなかったが、途中で役割が分かる。が、その役割はそのまま忘れられた感がある。でもちゃんと少女漫画の主人公をやっていて、主人公感がばっちりある。
クロミちゃんは、マイメロを嫌っていて、マイメロにひどい目にあったことをクロミノートに記録している。唐揚げにレモンをかけられたとか。ちなみにクロミちゃんの配下のバクはクロミちゃんに対する恨みをバクノートにつけている(でもバクはクロミが好き)。クロミノートの回想シーンでは、クロミちゃんはマイメロと結構仲良くしている(が、マイメロの行動で恨みを貯めていく)ので、クロミちゃんが今のようになったのはマイメロのせいではないかと思わせるところもある。
そして23話の「カレと踊れたらイイナ!」で、クロミちゃんは人間の姿になる。ダンスパーティ用のドレスアップしたかわいい姿で、これがコスプレの基本になったようだ。この回も、本来他人にかける悪夢魔法を自分にかけるというなかなか面白い設定があり、不条理ギャグというよりも理屈が通ったギャグ作品という気がする。
裸担当の柊恵一
一応敵役にして、夢野歌の憧れの先輩である柊恵一だが、上半身裸でバイオリンを引く姿が印象的。印象的というか、クロミちゃんが悪夢魔法を使うたびに裸バイオリンの映像が出るのでつまり毎回出る魔法演出バンクである。
これなんて女性の露出の高いアニメに対するパロディになっていると思うんだよね。でも、そのシーン自体はギャグじゃなくて、ちゃんと悪夢魔法っぽい演出にもなっている。
52話でも突然制服を着たのに対して
「その制服どこから出した」というツッコミが入って、それに対して恵一が
「脱ごうか」
「脱がんでいい」
という流れがあるんだけど、これも柊恵一がいつも(上半身)裸のナルシストキャラという積み重ねがあってのいいギャグなんだ。その柊恵一も次のシリーズ「くるくるシャッフル」ではとてもひどい目に会う。
マイメロママの毒舌はそんなでもなかった
マイメロママの毒舌がtwitterで話題になったことが、実はこの作品を見始めるきっかけだったのだが、そんなに多くはなかった。というか、マイメロママが直接毒舌を言うのではなく、マイメロが「ってママが言ってた」というように引用している。アニメなので引用シーンではマイメロママの映像が出るので直接言っているようにも見えるが、この引用はマイメロがそんなに悪意がないのに場違いな毒舌を引用してしまうという微妙なギャグだと私は思うのである。
でも、次のシリーズ「くるくるシャッフル」の第1話では、召喚されたマイメロママが毒舌を言いまくってみんなを倒すという強烈なシーンがある。
パワーアップがギャグ
こういう女児向けのアニメでは、途中で敵が強力になり、こちらもパワーアップするという流れがある。それはもちろん、新しいおもちゃを売りつけるための仕組みである。ところが、少なくとも1作目のこの作品では、パワーアップで新しいおもちゃは出ない。というか、「おねがい」に「もーっと」を付けて「もーっとおねがい」にするという、まさにギャグでしかないパワーアップである。
これはもともとマイメロがサンリオのキャラであり、おもちゃを売る必要がそんなになかったからではないだろうか。女児アニメに限らず、パワーアップでおもちゃを売りつけるタイプのあらゆる作品に対する痛烈なパロディになっていると思う。
更に第二段階のパワーアップもしつこくギャグを繰り返す。
だが、マイメロは天然キャラなので、ギャグとしてではなくふつうにパワーアップのセリフを言うのである。
夢野歌は少女漫画の主人公をしている
人間側の主人公の夢野歌はちゃんと少女漫画の主人公をしている。濃いキャラに囲まれ、なおかつ自分では魔法を使わないという設定でありながら、主人公感は強い。これは俺の知っている古き良き少女漫画のパターンに添っているから。
森脇真琴監督は少女漫画のファンらしいし、年代的にも俺の読んできたような作品を読んでいる同世代という気がする。
バクがいい
バクはクロミちゃんの乗機だが、すごくいいキャラになっている。特に後半はもうバクの話と言ってもいい気がしないこともない。バクおやじもいい。こっちもマイメロママとは別の意味でひどいけど。
おでん屋で愚痴るところとか。