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読書感想:エノーラ・ホームズの事件簿〜ふたつの顔を持つ令嬢〜

これは素晴らしい。絶賛するぞ。ネタバレしっつ。
1巻はエノーラの家出が主な事件で、舞台もロンドンは半分くらいしか出てこなかったが、今回はロンドンが舞台で、当時発表されていた「ジキルとハイド」も絡んで大変おもしろい設定になっている。ジキルとハイドの二重性よりもロンドンの晴れやかさと暗さの二重性が描写されていて、エノーラは資本論を読もうとして寝てしまったりするし、さすが児童文学という感じである。
ラゴスティン博士の探しもの事務所も開設されて、エノーラは秘書の役をし、事務所に使用人も雇い、いろいろ順調に見えるところに、現れたのがワトスン博士で依頼内容がエノーラの捜索というとんでもないことに。しかしエノーラはその件は放置して、ワトスンがふと口にした令嬢失踪事件に取り組む。
シャーロック・ホームズにもベイカー・ストリート・イレギュラーズとか出て来て、なんだっけTVシリーズではホームレスを使ったりしていたけれど、この作品ではロンドンの闇の部分としてのホームレスや救貧院のことが描かれているし、労働者のストとかも理想よりも現実よりに描かれていて、そのへんが素晴らしいのだよ。そしてエノーラは秘書や幼妻やシスターと次々に変装をしまる。
暗号はまたしても出てくるけれど、それもシャーロックに見破られてしまい、エノーラを捕まえるシャーロックの罠を回避して逆にシャーロックから暗号の本を取り戻すとか、今回もいい感じにシャーロックと競い合っている。そして冒険の末に失踪した令嬢を救出するものの、シャーロックにつかまりそうになる。
なんとも意外なことに、シャーロックにヒントを与えすぎたと感じたエノーラは探しもの事務所を閉めてしまう。ミステリーの基本パターンを壊してきたな。次回どうなるんだ。
しかし、胸のブローチを引っ張ると短剣が取り出せるというのは一体どういう風に短剣を仕舞っているんだ。そして転んだらどうする。あれか、ウテナ(アンシー)みたいに剣を取り出すのか。アニメついでにいうと、子供が大人に変装するところはミンキーモモみたいだ。