ネギ式

適当に生きるおっさんのブログ

読書感想:お嬢様学校にはふさわしくない死体

はっきり言って、最高ですよ。素晴らしい。傑作。

1934年のイギリスの女子寄宿学校が舞台のミステリー。私はパズルミステリーが好きだけど、この作品はそんなにパズル性は強くない。なんといっても探偵は寄宿学校の生徒だし。そこそこヘッポコな探偵で推理のミスもある。探偵役は(秘密裏に作られた)探偵倶楽部の二人で、秘書役(ワトソン役)のヘイゼルが語り手である。

章ごとに捜査の進捗状況を語り手がメモしてくれていてとても親切。だと思ったけど、途中まででした。そして、この二人が実に子供らしいことに人物に対する好悪の感情で、あの人が犯人のはずがないとか考えてしまうのである。その意味では信頼できない語り手というか、信頼できない探偵なのだ。その上、ワトソン役がホームズ役の推理を疑うとか、いやこれって最高じゃないか。そして犯人もたくさん証拠を残している。これがいいんですよ。私が嫌いなのは天才ということになっている探偵が馬鹿なことをするミステリー。

この作品では探偵も犯罪者も素人だし、探偵の行動はかなり規制されている。厳しい寄宿学校なので。そしてホームズ役のお嬢様デイジーはかなりお転婆で無茶なことをする。読んでいて結構はらはらするのです。つまり、ミステリーとしてのバランスが取れていて読ませる作品になっているのだ。

さらにさらに、この二人の関係とか寄宿学校の様子とかが素晴らしい。私はアニオタなので、これを読んでいて「人類は衰退しました」の学舎のエピソードを思い出した。いやまさにあんな感じ。意地悪だったり友情があったり。

 

お嬢さま学校にはふさわしくない死体 (コージーブックス)

お嬢さま学校にはふさわしくない死体 (コージーブックス)

 

 このイラストがまたいい。私は萌え絵自体は嫌いじゃないけど、1934年の英国の女子寄宿学校の生徒は、萌え絵じゃなくてこうでなければ。