ネギ式

適当に生きるおっさんのブログ

読書感想:妃は船を沈める

名作ホラー小説「猿の手」の(別)解釈と(殺人)事件の解決がうまくつながっているミステリー。ミステリー脳による「猿の手」の読み方というか。

タイトルは、それだけで見ると良い。が、内容とはそんなに関係ない気がする。実際には「猿の手」の解釈に関する短編「猿の左手」と登場人物の重なる「残酷な揺り籠」の二篇および幕間からなる作品。私は「猿の手」の別解釈におけるラストの解釈が後半にあるのかと思ったが、それは私の読み違いだった。

私のように読み込みの足りない人間には、この火村英生シリーズはちょと分かりにくい。犯罪学者火村英生が探偵役で、作者と同名の登場人物がワトスン役なのだが、このワトスンは結構切れ者で二人の探偵が推理を競い合うようにも読めるのだが、私は読んでいる途中でどっちがどっちのセリフなのか、どっちがどっちの推理なのか分からなくなってしまうのである。

タイトル「妃は船を沈める」って、なんかファンタジーのタイトルみたいじゃないですか。妃が船を沈めるんですよ。そういう特殊能力で敵の船を沈めて国を守っているのかも知れないし、何かの呪術の儀式として自分たちで作った船を沈めているのかも知れない。

猿の手」はいろいろな短編集に入っている。