新装版ではあるが古いエッセイである。トランジスタは足が3本とか書いてある。正しいが今の人には分からないのではないか。コンピュータの話ではパラメトロンとか出てくるし。古い古い。
しかし、このエッセイの内容は身近なことを考察するという点で、ブログに似ている。昔のブログと思って読むとそこそこ面白い。物理学者が書いているだけあって、そんなに無茶な理屈は出てこないが、それでも私は後知恵の時代に生きているので、いやいやそれはないという点もある。
面白かったのは「かきもち問答」というやつである。五円玉を熱すると穴は大きくなるが、穴の開いたかきもちを熱すると穴は小さくなるというのである。熱すると言うかかき餅を焼くということだが。
また、ぜんまい仕掛けで天井を這い回るおもちゃというのも出てくる。ちょっと信じがたい気もするのだが、本当にあったのだろうか。見てみたい。とは言え、いくらうまく天井を這い回ることの出来るおもちゃでも、時には落ちることもあるだろうから、現代ではもう製造されることはないだろう。