ネギ式

適当に生きるおっさんのブログ

読書感想:鍋奉行犯科帳 浪花の太公望

なんというか、最近のフィクションはリアリティを追求しすぎている気がするのである。その点、田中啓文の小説はリアリティがないのがよい。デタラメというわけではなくて、いやデタラメはデタラメなんだけど、すごく調べてあって、その上でリアリティのない話を展開するというのが素晴らしいのである。
いうならば、筒井康隆が虚航船団でやろうとしたことを、エンタメの分野でやって筒井康隆以上の成果を上げているのが田中啓文ではないかと思うのである。褒め過ぎか。
釣りキチ三平のパロディとか、もう馬鹿だねぇ。三話めのタイトルは釣りバカ日誌のパロディだし。二話めでは、狸が人に化けるどころか、鍋奉行が狸に化けるし。話自体はありがちな人情噺なんだけどね。